「洗い過ぎ」がシワや敏感肌の原因(depositphotos.com)
汗をかくシーズンが来ると、洗顔料や石けんで顔を洗う回数が普段よりも増えるだろう。そのような「洗い過ぎ」が皮膚のトラブルを招いていると、『10万円のクリームより効く「何もつけない」美肌ケア』(マキノ出版)の著者である医療法人社団躍心会「江北皮フ科」院長・池田大志医師(皮膚科)は語る。
「皮膚を清潔に保つために、洗顔は1日2回が望ましいという考え方が世間に広くまかり通っているようですが、これは間違いだと私は思っています」
今回は洗い過ぎによる皮膚のトラブルについて池田医師に話を聞いた。
「角質細胞」が「皮膚のバリア」になる
『10万円のクリームより効く「何もつけない」美肌ケア』(マキノ出版)
私たちは「洗顔料や石けんで顔を洗わなければ、不潔になる」と思いがちだ。このような思い込みがそもそも間違っていると池田医師は指摘する。
「私たちの体には、皮膚を清潔に保つ『新陳代謝』という機能がもともと備わっているのです」
人間の皮膚の最も表面にある表皮は、4層で構成されている。表皮のいちばん下にある基底層では「角化細胞」が作られている。角化細胞は「基底層」から「有棘層」「顆粒層」を経て、約2週間で「角質層」に到達し「角質細胞」となる。
角質細胞は2週間ほど角質層にとどまり、「皮膚のバリア」の役目を果たした後で、垢(アカ)となって自然にはがれ落ちていく。このように表皮の細胞が入れ替わることを「新陳代謝」という。
「皮膚の表面に汚れが付着したとしても、垢と一緒にはがれ落ちていきます。つまり、水で洗い流さなくても汚れは新陳代謝によって除去され、皮膚は清潔に保たれているのです。皮膚を洗えば汚れは落ちやすくなりますが、同時にバリア機能を低下させることになります。そして洗う回数が多くなるほど、バリア機能はさらに低下し、外からの刺激を受けやすくなるのです」
「皮膚のバリア機能」とは、外部からの異物の侵入や、内部からの水分の蒸発を防ぐことだ。ただ、それだけではない。皮膚を美しい状態に見せる働きもあると池田医師は語る。バリア機能の低下で、かゆみや赤みに加え、小ジワやニキビなども起こるということだ。