もう白髪で悩む必要なし!?(shutterstock.com)
年齢を重ねれば、誰でも頭は白くになる。何が白髪を加速させるのか? その鍵を握る遺伝子がついに突き止められた。
2016年3月2日付けのAFP BBNewsによれば、ロンドン大学ユニバーシティー・カレッジ遺伝学研究所のアンドレ・ルイス・リナレス教授とK・アディカリ教授の研究チームは、髪を白くする「IRF4遺伝子」を世界で初めて特定したと英国の科学誌『Nature Communications』に発表した。
発表によると、リナレス教授らは、毛髪の色・密度、直毛やカールなどの形状、フェイシャルヘアや一本眉の発生率などを決定づける遺伝的要因を解明するために、ブラジル、コロンビア、メキシコ、ペルーなどの中南米諸国に住む6630人を対象に大規模なゲノムワイド関連解析(GWAS)調査を行った。
ボランティアは、およそ50%が欧州系、およそ40%がアメリカ先住民、6%がアフリカ系だった。
GWASはヒトゲノムにある50~100万種のSNP(スニップ/一塩基多型)をマーカーとして使い、ゲノム配列の個人差や疾病に関わる多因子形質と変異の関係を調べ、疾病に関連する遺伝的要因を解明するゲノム解析法だ。
調査の結果、「IRF4遺伝子」は毛母細胞の中のメラニン色素に作用して髪を白くする働きがあり、メラニン色素の生成・蓄積や毛髪の色の決定に強く関わっていることが判明した。
リナレス教授は「白髪化の初期段階では、IRF4遺伝子がメラニン色素を作り出す毛母細胞の生存と維持に深く関係している。髪染めが白髪を食い止めるための唯一の選択肢ではなくなるかもしれない」と話す。
近い将来、IRF4遺伝子が毛髪の色を制御している他の遺伝子との相互作用やメカニズムがさらに解明されれば、毛包内で成長する過程で白髪化を遅らせる治療法や、白髪になりにくくする化粧品の開発につながる可能性が高い。
研究グループは、長年にわたってヨーロッパを中心に薄毛になりやすい毛髪の色の遺伝子要因の調査や解析に携わってきた。
今回の調査は、日本を含む東アジアとつながりが深い中南米のさまざまな先住民族や人種を対象としたので、白髪のルーツを辿れば、人類進化の歴史をひも解くきっかけにもなるかもしれない。