連載「死の真実が〈生〉を処方する」第38回

車両火災が1日3件以上起きている! 人もクルマも高齢が事故原因に?

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車両火災の原因は20.6%が「点検・整備の実施方法」に起因(depositphotos.com)

 連休や行楽シーズンは、クルマで出かける機会が増えます。楽しいはずのドライブも、交通事故を起こす、巻き込まれる可能性は誰にもあり得ると注意を払うことが大切です。

 交通事故では、車両火災を伴うケースがあります。エンジンルームから煙が出ているような例から、車両が大破して炎上するようなものまで――。

 特に後者は、テレビやインターネットで画像や動画によって紹介されることが増え、近年ではトンネル内の多重衝突で火災発生が報じられました。多数の死傷者を伴う大型災害につながる危険性もあり、日頃からその予防対策を徹底しなければなりません。

 先日、2台の乗用車が衝突し、1台が激しく炎上する事故が発生し、炎上した車内から焼死体が発見されました。

 この場合、まず身元の確認を行うこと、次に死亡した原因は何か(事故による外傷か、あるいは火災による焼死か)、事故の発生原因は何か、そして火災原因は何か、などが調べられます。

 このケースでは、1台の車両が高速度で走行し、スリップしたところに対向車が衝突。その結果、燃料タンクが破損して火災が発生したと結論付けられました。死亡したのは当該車両の運転者でしたが、事故時に激しい頭部外傷を負って、火災発生前に死亡していたことも明らかになりました。

 車両火災を予防するためには、軽微な事故例も併せて、その原因を詳細に調査しなければなりません。

1日に3件以上の車両火災が起こっている

 国土交通省では、自動車製作者や自動車輸入業者から自動車の不具合による事故や火災の報告を受けています。もちろん、その原因は自動車製作者の設計・製作に起因するものだけでなく、整備不良やユーザーの不適切な使用などに起因するもの、不具合の原因が判明しないものなども含まれます。

 そして、平成21年からは国土交通省ホームページにおいて、これらの情報が公表されています。これは、自動車ユーザーの関心を集め、適切な使用や保守管理などの促進を目的としています。

 この報告例を調べたところ、平成25年には車両火災が1220件発生していました。平成24年が1099件ですから、1日に3件以上の車両火災が起こっていることになります。

 その原因が特定されたものでは、「点検・整備の実施方法」に起因するのが20.6%と最も多く、「特殊な使用等」「社外品・後付装置」に起因するのがそれぞれ12.7%ずつと続きました。

 装置別に見ると、エンジン関連が16.1%と最も多く、電気装置が5.9%、保安・灯火装置が5.8%と続きました。

バスの火災事故の53.4%がエンジンルームからの出火

 昨年(2016)1月、軽井沢でスキーバスの事故が起こり14人が死亡しました。このように大型バスなどの事故は、ひとたび発生すると多数の死傷者を伴う災害になります。

 国土交通省は平成23年から26年に発生した事業用バスの火災事故について分析を行っており、対象となったのは58件で53.4%がエンジンルームからの出火で、全体の43.1%は点検整備が不十分であることが事故の原因でした。

 つまり、長期間整備が未実施であった、あるいは、定期交換部品の交換が行われていなかったなどです。

 また、道路種別で発生件数を見たところ、高速道路などよりも、そのほかの道路における件数のほうが多かったのです。すなわち、特別に速度を出しているというわけではなく、通常の走行中に発生するほうが多かったのです。

一杉正仁(ひとすぎ・まさひと)

滋賀医科大学社会医学講座(法医学)教授、京都府立医科大学客員教授、東京都市大学客員教授。社会医学系指導医・専門医、日本法医学会指導医・認定医、専門は外因死の予防医学、交通外傷分析、血栓症突然死の病態解析。東京慈恵会医科大学卒業後、内科医として研修。東京慈恵会医科大学大学院医学研究科博士課程(社会医学系法医学)を修了。獨協医科大学法医学講座准教授などを経て現職。1999~2014年、警視庁嘱託警察医、栃木県警察本部嘱託警察医として、数多くの司法解剖や死因究明に携わる。日本交通科学学会(副会長)、日本法医学会、日本犯罪学会(ともに評議員)、日本バイオレオロジー学会(理事)、日本医学英語教育学会(副理事長)など。

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