肥満の糖尿病患者は「脳」が委縮? 同じ病気でも「体重」が症状を進行させる!

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<脳の健康>を保つには体重を適正に

 米国レノックス・ヒル病院(ニューヨーク市)の主治医であるSami Saba氏(神経筋医学/筋電図学)によれば、「肥満や2型糖尿病による影響が最も大きい領域が側頭葉であり、同様にアルツハイマー病患者においても最も影響を受ける部分であることは知られている」そうだ。

 同氏は「糖尿病を持たない過体重・肥満の人々が被験対象に含まれていないのが難点だろう」と課題を指摘しつつも、今回の知見は「糖尿病患者が脳の健康を保つには適正体重の維持の必要性を示唆した点が重要だ」と評価している。

 一方、Lyoo氏も筆頭筆者の立場から、この知見だけでは「脳構造に変化をもたらした要因」が過体重/肥満なのか、あるいは2型糖尿病なのか、はたまた2要素の「併存」なのかは断定できないとしている。

 しかし、①の併存群では、糖尿病期間が長いほど「多くの変化が脳内でみられることも明らかにされた」とコメント。こうした脳内変化に影響を及ぼしているのは「インスリン抵抗性」や「炎症」「血糖コントロール不良」などとも指摘している。

2型糖尿病患者は「記憶力」も「思考能力」も低下

 ちなみに、①群か②群のいずれかに属する2型糖尿病患者の場合、体重にかかわらず③群比で「記憶力」も「思考能力」も低下している事実も判明した。

 それゆえLyoo氏ら研究陣は、「糖尿病や肥満に関連する脳内変化の予防には、良好な血糖コントロールこそが進行を遅らせる一助になるであろう」と語り、さらなる因子解明の必要性を説いている。

 たとえば、肥満を伴なう2型糖尿病患者では、発症後の早期から「動脈硬化」が進みやすく、加齢に伴う「動脈硬化」は心筋梗塞や脳卒中の重要なリスク因子でもある――と、該当層にはいささか暗い話題ばかり。

 最後は小規模研究ながら、「ちょっと良い話(=最新知見)」を紹介して終わろう。

赤ワインやピーナッツが糖尿病患者の動脈壁の硬化を改善

 米ボストン大学医学部のNaomi Hamburg氏らの研究によれば、赤ワインやピーナッツ、ベリー類に含まれるレスベラトロール(抗酸化物質)のサプリメントを摂取すると、2型糖尿病患者では「動脈壁の硬化が改善される可能性がある」と示唆された。

 しかも「動脈壁の硬化が進んだ患者ほど有益性が高いことが判明した」というから、これは朗報だろう。

 Hamburg氏ら研究陣は「(レスベラトロールの摂取を)脳心血管イベントの発症予防目的に推奨するのは時期尚早」と慎重に言葉を選んでいる。

 だが、彼らの最新知見は「自然の食べ物に含まれる抗酸化物質が加齢に伴う現象を逆行させ得ることを示唆している」(米カリフォルニア大学サンフランシスコ校のByron Lee教授)と評されている。

 ちなみに、研究で用いられた1日のレスベラトロール摂取量は「グラス1杯の赤ワインに含まれる量よりもはるかに多い」そうだが、2型糖尿病持ちの愛酒患者が吉報よろしく「ならば杯を重ねればいい」というわけではもちろんない。

 美味しいナッツを肴に、大好きな赤ワインをちびりちびりできるだけでも幸せではないだろうか。何事も「ほどほど」が良いのである。
(文=編集部)

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