いじめられた子では成人後の心筋梗塞、肥満、2型糖尿病などのリスクが高い!?

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いじめのストレスから生活習慣病を発症!?shutterstock.com

 小児期にいじめられた経験のある人では、成人後に肥満や心疾患、糖尿病となるリスクが高いことが、英国の研究で示唆された。

 研究指導著者で英キングス・カレッジ・ロンドン精神医学・心理学・神経科学研究所教授のLouise Arseneault氏は、「われわれが以前に行った研究で、小児期のいじめと小児期、思春期、成人期を通じた精神疾患リスクの関連は示されていたが、今回は初めて、中年期の心血管疾患リスクを含む有害転帰について検討範囲を広げた」と解説。

 今回の結果について、「いじめがその人を悩ませることは明らかだ」と述べている。

 「Psychological Medicine」5月20日号に掲載された論文によると、今回の研究では1958年のある1週間にイングランド、スコットランド、ウェールズで生まれたすべての小児7,100人強を対象とした長期研究データを分析した。対象児が7~11歳の時期にいじめを受けたかどうかの情報はその親に提供してもらった。

 分析の結果、小児期に時々あるいは頻繁にいじめを受けていた女性では4分の1以上が45歳までに肥満していたが、いじめられた経験のない女性の肥満率は19%であることが分かった。小児期にいじめられた経験のある人は成人後に過体重になっている率が男女とも高かった。

 また、いじめられた経験のある人では男女とも、いじめられた経験がない人に比べて血中の炎症レベルが高く、心筋梗塞や2型糖尿病のような加齢関連疾患の発症リスクも高まっていた。

 今回の研究では小児期のいじめとその後の健康リスクについての関連が示されたが、直接の因果関係は示されていない。

 Arseneault 氏はこの結果について、「すべての社会グループにおいて、いじめは小児の成長過程の一部となっている。いじめ防止に焦点を当てた学校プログラムは多いが、被害者自身や被害者の苦しみは無視される傾向がある。今回の結果からは、いじめを受けた児への支援は児の心理的苦痛を抑えるだけでなく、成人後の身体的な健康問題を減らすことにつながることが示唆される」と述べている。

 同論文の共著者であるAndrea Danese氏は、肥満と血中の炎症レベル上昇は2型糖尿病や心血管疾患のような生命に危険の及ぶ病態につながりうると指摘。

 「小児期にいじめられた経験が、のちの健康リスクに及ぼす影響は比較的小さいが、肥満もいじめも非常に一般的な問題であるという近年の状況を考えると、そこへの対応は大きな成果につながるかもしれない」と述べている。

※原著は以下;
http://journals.cambridge.org/action/displayAbstract?fromPage=online&aid=9696838&fileId=S0033291715000653

 この研究では、医学的なエビデンスに乏しく、小児期のいじめと成人後の肥満、糖尿病、心筋梗塞のリスクになんらかの関係性が示唆されるとしているのみだ。他の研究では肥満の男児はそうでない男児に比べていじめたり、いじめられたりする可能性が高いというオランダ、エラスムス大学(ロッテルダム)のPauline Jansen氏らの研究もある。どっちが先でどのような関係性があるのかまるで鶏とタマゴのような関係だ。

 また、インドで糖尿病患者が急増しているのは、貧しい地方で低栄養状態で生まれたこどもが、年に移動し、急激に高カロリーの食生活を送ることで糖尿病となっているとの報告もある。 

 こうした、いくつかの研究を見ると、小児期に栄養ストレス(過剰も含め)や精神的ストレスにさらされた場合は、その後に児の生活習慣病の発症率は高くなるようだ。
(文=編集部)