虐待から子供を守る方法はないのか?
子供たちを守る対策はないだろうか?
たとえば、母親が付き添わない時に尿検査をしても、まったく異常値が出ない。母親は症状がよくなると動揺するが、負担が重い検査には動揺しない。病気についての知識や情報を駆使して医師を混乱させようと図る。病室の内外で不審な言動を繰り返す。このような不自然な現象や異常な兆候を医師や看護師が察知したなら、モニターカメラなどで証拠を掴み、早急に警察の介入や捜査を求めるべきだ。
代理ミュンヒハウゼン症候群を起こす原因は未解明だが、幼児期に虐待やネグレクト(育児放棄)を受けた心的外傷や、夫婦生活の破綻、過剰な依存癖などの学説がある。しかし、代理ミュンヒハウゼン症候群による加害行為は、児童虐待という明白な犯罪になる。
医師や看護師だけでなく、家族や友人が冷静な目で発見し、行動することが何よりも大切なのは言うまでもない。手遅れにならないように早期発見し、子供たちを守りたい。もしも、家族や友人などの第三者が母親や父親の加害意識の衝動や兆しに気づいたなら、本人に精神科を受診するように薦めてほしい。
18世紀の「ほら吹き男爵」から命名
ちなみに、ミュンヒハウゼン症候群(故意にかつ意識的に病気の症状を詐病する虚偽性障害)と代理ミュンヒハウゼン症候群の病名にあるミュンヒハウゼンは、18世紀のプロイセン(ドイツ)の貴族の名前だ。
ミュンヒハウゼン男爵は、オスマン帝国軍と勇戦した体験を面白おかしく誇張して豪語したため、知人がその武勇伝を小説で暴いたことから、「ほら吹き男爵」の異名を拝借する事態になったとか。1951年にイギリスの医師リチャード・アッシャーが発見した虚偽性障害は、この「ほら吹き男爵」にちなんで、ミュンヒハウゼン症候群と命名された。
ミュンヒハウゼン症候群は、吐き気、発熱、発作などを巧妙にまねる。血液を大便や小便に混ぜる。インスリンを打って血糖値を下げる。自分の身体に悪影響を及ぼす自害・自傷行為に飽き足らず、重大な病気を自作演出しつつ、検査・治療を求めて病院を渡り歩くのだ。
ミュンヒハウゼン症候群も、代理ミュンヒハウゼン症候群も、詐病する虚偽性障害だが、混迷するストレス社会が孕んだ文明病なのだろうか?
(文=編集部)