シリーズ「DNA鑑定秘話」第48回

アカゲザルと交雑したニホンザル57頭を殺処分!生態系を守るための「外来生物法」の実態とは?

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【DNA45】アカゲザルと交雑したニホンザル57頭を殺処分!生態系を守るための「外来生物法」の実態とは?の画像1

千葉県富津市で交配種のニホンザル57頭を殺処分(depositphotos.com)

 「見ざる、聞かざる。言わざる」と言うものの、この問題は見捨てておけない! 目を覆わざるを得ない生物学的かつ社会倫理的な難問だ!!

 千葉県富津市は、高宕山(たかごやま)自然動物園で飼育している日本固有種のニホンザル(M. fuscata)の全個体をDNA鑑定し、交雑(遺伝的撹乱)がないかを確認するため、DNA鑑定費810万円を計上。交雑が確認されれば駆除(殺処分)し、ニホンザルを保護すると発表していた(千葉日報オンライン2016年8月26日)。

 そして、2017年2月20日、富津市は高宕山自然動物園のニホンザル164頭のDNA鑑定の結果、約3分の1の57頭が特定外来生物のアカゲザル(Macaca mulatta)との交雑種であることが判明したため、駆除(殺処分)したと発表した(朝日新聞2月20日)。

アカゲザルと交雑したニホンザル57頭が殺処分された理由は?

 なぜ駆除したのだろう?

 1995年に房総半島南部で交雑種のアカゲザルの群生が確認されたことから、千葉県は2005年に全頭駆除に着手したが、この十数年間に高宕山自然動物園のニホンザルと野生化したアカゲザルとの交雑がさらに進んだ。飼育しているニホンザルが檻の隙間などから外に出て、アカゲザルとの交雑に歯止めが利かなくなったようだ。

 アカゲザルやその交雑種は、生態系に悪影響があることから、外来生物法の規制対象になるため、園内で飼えない。富津市は、京都大学霊長類研究所などに委託してDNA鑑定したところ、57頭が交雑種と判明したため駆除(殺処分)。2月15日に慰霊祭を開いて弔った。今後は、ニホンザルが園外に出ないように管理態勢を固めるという。

 2013年の外来生物法の改正によって、飼育や輸入が原則禁止される特定外来生物として、外来種のタイワンザル、アカゲザルが指定された。タイワンザルやアカゲザルの駆除は、静岡県、和歌山県などでも行われているが、できる限り苦痛を与えない方法(吸入や静脈注射など)で駆除(殺処分)されている。

 外来生物対策室の担当者によれば、特定外来生物は飼育するだけで法律違反なので、今回の殺処分は、やむを得ないと話している。
 
 国の天然記念物の高宕山一帯に生息するニホンザルや高宕山自然動物園のニホンザルは、房総半島に固有の希少種だ。アカゲザルは、県南地域の観光施設で飼育されていたが、施設の閉鎖のために逃亡・離散して生息域が高宕山周辺にも広がったとみられる。

 ニホンザルは、体長47〜60cm、尾長6〜11cm、体重6〜18kg。東北地方や中部地方の山岳部に生息する個体群は大型だが、尾が短い。一方、アカゲザルは、体長47〜64cm、尾長19〜30cm、体重5〜18kg。ニホンザルより尾が長く、下半身に黄色味や赤味を帯びている。ニホンザルとアカゲザルとの交雑種は、ニホンザルより尾が長く、下半身の黄色味や赤味が強いのが特徴だ。

 ニホンザルもアカゲザルも、オスは生まれ育った群れを離れ、別群れに入り込む習性があるために、常に交雑の危険性がある。なお、アカゲザルによる柿や柑橘類などの農作物被害の報告もある。

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