インタビュー「ビジネスパーソンのための睡眠学」第3回 働安全衛生総合研究所・産業疫学研究グループ部長:高橋正也氏

眠れなければ、あえて「寝床から出ろ!」~ 良い睡眠を生む<起きている時間の過ごし方>

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
眠れなければ、あえて「寝床から出ろ!」~ 良い睡眠を生む<起きている時間の過ごし方>の画像1

良い睡眠には「起きている時間」に注意(depositphotos.com)

 現代人の悩みのひとつである「睡眠不足」。日常生活に支障をきたし、仕事の生産性も低下させる。死亡リスクを高めることも判明している。最近の研究では、日本経済に大きな損失をもたらしているという。

 自身のパフォーマンスを高く保つために欠かせない「睡眠」は、ビジネスパーソンにとって重要なセルフマネジメントのひとつだ。「いい睡眠」をとるための秘訣を、睡眠の専門家である、労働安全衛生総合研究所の産業疫学研究グループ部長の高橋正也氏に訊く。

夜勤前に2、3時間でも寝ておく

――「いい睡眠」をとるために注意すべきポイントを教えてください。

 ヒトには、朝に起きて明るい光を浴びて覚醒し、夜暗くなったら眠りにつくという「体内時計」が備わっています。「いい睡眠」には、同じ時間に寝て、決まった時間に起きるというサイクルが重要です。

 それが、就寝や起床の時間が日によって違えば、体内時計が狂ってしまいます。たとえば、休日に寝すぎて休み明けに調子を崩すような経験された人も多いでしょう。

――しかし、現代社会では夜中に働く勤務形態の人も大勢います。そのような人たちはどうすればいいのでしょうか?

 これは社会全体のとても大きな問題です。日本の労働者のおよそ4分の1が、夜勤やそれに準ずるシフトで働いているといわれています。日本経済は、夜中に働くコンビニの店員さんや流通を担うトラックの運転手の方がいなければ成り立ちません。

 ですが、深夜勤務は心体ともに大きな負担がかかります。夜勤から帰ってきても朝になると、体は「起きなさい」という指令が出ている状態です。

 ヒトに備わる体内時計に逆って眠ろうとしても、「3~4時間で目が覚めた」ということは往々にしてあります。結局、疲れが取れないまま次の勤務になり、疲労がどんどん蓄積していくことになります。

 この問題の解決には、社会全体のシステムの変革が求められますが、個人で可能な対策のひとつは、「夜勤前に2、3時間でも寝ておくこと」。これで、かなり体が楽になるはずです。

 もし可能であれば、「深夜の休憩時間に数十分の仮眠をとる」こと。これで体の負担が減ることは確かです。

里中高志(さとなか・たかし)

精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。大正大学大学院宗教学専攻修了。精神保健福祉ジャーナリストとして『サイゾー』『新潮45』などで執筆。メンタルヘルスと宗教を得意分野とする。著書に精神障害者の就労の現状をルポした『精神障害者枠で働く』(中央法規出版)がある。

里中高志の記事一覧

里中高志
睡眠障害治療の新たな幕開け!個人に必要な睡眠の「量」と「質」を決める遺伝子を探せ
インタビュー「睡眠障害治療の最前線」後編:筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構・佐藤誠教授

前編『『人間の「脳」は7時間程度の睡眠が必要! 本当のショートスリーパーは100人に1人程度!?』』

ひとくちに睡眠障害といっても、さまざまな症状がある。1990年代後半から脳内に眠気を誘う「睡眠物質」を探す研究にスポットライトが当たり、2018年からは睡眠の質と量を決める遺伝子の解析も進められている。今回は睡眠障害について、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の佐藤誠教授に話しを聞いた。

Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

医療法人社団 三喜会 理事長、鶴巻温泉病院院長。…

鈴木龍太

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法…

郡司和夫

小笠原記念札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認定クリ…

横山隆