「寝溜め」ができない理由が判明~睡眠時間は<起きていた時間>より<体内時計>が決める

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
97878440.jpg

睡眠欲よりも概日リズムが勝る?(shutterstock.com)

 明日一日は、何の予定もない真の「休日」――。ふだんの睡眠不足を一気に挽回するぞ!

 そう望んで床に就いても、いつもと大差ない時刻に寝覚めてしまうものだ。その後の<二度寝>が許される分、妙に得した気がしないでもないが、途切れなしの「寝溜め」は無理なのだろうか?

 そもそも睡眠を遮断した(された)際、ヒトの脳内の各領域はいったいどんな反応を起こしているのか? そのあたりの脳内事情を探るため、ベルギーのリエージュ大学の研究グループが、健康で若年層のボランティア33人の参加を得て、連続42時間起きてもらう実験下で、いくつかの成果をまとめた。

 その研究報告は、アメリカ科学振興協会が発行する学術雑誌『Science』(8月12日号)に掲載された。

体内時計は<健康の素>

 まずは42時間の不眠実験中に、各自の注意力や反応時間を調べる試験が実施された。加えてMRI検査によって脳活動が記録されていったが、大方の事前予想どおり、被験者たちの断眠時間が長くなれば長くなるほど、総じて試験成績は低下していった。

 一方、検査の末、光や暗闇に反応して睡眠/覚醒サイクルを決定する「概日リズム(サーカディアン・リズム)」と、起きている時間が増すほど眠気に襲われる「恒常的睡眠欲」との間には、それぞれが影響しあう関係にあることも明らかになった。

 この2つの基礎的な生物学的プロセスを端的に言い換えるならば、前者の概日リズムが「体内時計」のようなもの(=この別称はよく使われる)、それに対して後者の恒常的睡眠欲は「体内砂時計」みたいなものとなる。

 『Science』誌上の付随論文を担当した米ハーバード大学医学大学院の睡眠医学教授のCharles Czeisler氏は、この2種類の「時計」の複雑にして興味深い相互作用を、次のように説明する。

 「たとえば、初日の午前7時から翌朝の午前7時までの24時間を起きていたとします。その後の開放感から自然と眠りには落ちるものの、体内の目覚まし時計が鳴ってしまい、数時間後に目が覚めてしまう。つまり、睡眠時間の長さを決定する主要因は『起きていた時間』の長さではなく、体内の『時刻』のほうなんです」

 睡眠操作の主導権を握る概日リズム(circadian rhythm)は、「約」とか「おおよそ」を意味するラテン語のcircaと、「日」のdiesを語源とし、「概ね1日」「約24時間」の周期を指している。

 内在的に形成され周期的に変動するこの生理現象は、動物や植物ばかりか、菌類や藻類に至るまで大概の生物内に存在している。その起源も進化上最も古い細胞まで遡れるとされる。

 日中の有害な紫外線下でのDNA複製を回避する目的から獲得された機能、と考えられている。どおりで「眠気」に勝る主導的立場にいるわけだ。

除菌で虫歯と歯周病を予防する「3DS」~薬を塗ったマウスピースを5分間はめるだけ
インタビュー 口腔内を除菌して全身疾患を予防する「3DS除菌」② 鶴見大学歯学部・探索歯科講座 花田信弘教授/山田秀則助教

第1回:口腔内の雑菌は100億個以上~<除菌治療>が歯周病と生活習慣病を防ぐ!
虫歯や歯周病の原因菌が、生活習慣病を引き起こす発症リスクになることがわかっているため、今後は虫歯や歯周病を直接治療するだけに留まらず、「予防歯科」の必要性が近年ますます高まってくる。鶴見大学歯学部付属病院では、3DSという治療法を用いて、歯科治療のみならず、全身疾患の予防を目的に画期的な専門外科を開設している。

日本中毒学会評議員(同学会クリニカルトキシコロジ…

横山隆

フリージャーナリスト。1949年、東京都生れ。法…

郡司和夫

理学療法士。日本で理学療法士として勤務した後、豪…

三木貴弘