ヘディングで記憶力も大幅に低下
サッカーのヘディングの危険性は『サッカーの「ヘディング」で記憶力が半減! 米国では「子供のヘディングを禁止」を発表』で詳しく紹介している。
学術誌「EBioMedicine」に掲載された研究によると、サッカーでは日常的なプレーであるヘディングをした直後の選手を調べたところ、「記憶力が通常より41~67%も低下した」というのである。
2015年12月には、米国サッカー連盟(USSF)は、脳震盪などの怪我から選手を守る新たな安全計画として、「10歳以下の子供のヘディング禁止」を発表。さらに「11~13歳の選手に対しても、ヘディングを1週間30分以内、1人あたり15~20回にとどめる」という項目を盛り込んだ。
頭部への運動に関しては、脳震盪を起こさなくてもても、頭痛、めまい、自律神経の障害など、さまざまな危険性がある。こうした症状は、軽症頭部外傷(Minor Head Injury)と呼ばれる。
あの元サッカー女子日本代表の澤穂希選手も、2012年3月、ポルトガルで開催されたアルガルヴェ・カップ2012での遠征中に体調不良を訴え、帰国後、検査を受けたところ「良性発作性頭位めまい症」と診断され、この症状に似ているとの指摘もある。
日救急医会誌「軽症頭部外傷に関連する病態と対応」(2014年)によると、以下のような記述がある。
「近年、スポーツ選手や軍事活動に従事する兵士のように、軽症頭部外傷を繰り返し受傷した人たちが、受傷から数年後に慢性的な認知機能障害や抑うつ状態を呈することが報告され、繰り返される軽症頭部外傷に関連する慢性外傷性脳症(chronic traumatic encephalopathy:CTE)が注目されている。繰り返される軽症頭部外傷に関連 する慢性外傷性脳症(chronic traumatic encephalopathy:CTE)が注目されている。軽症頭部外傷の患者の多くは比較的若年者であり社会的な影響が大きいため、海外ではその病態の解明や診断、治療法の研究が盛んにおこなわれている」
頭部外傷のひとつの指針として日本臨床スポーツ医学会が公開している「頭部外傷10か条の提言(第2版)」がある。その中でも「スポーツ現場における脳振盪の評価 」などは参考になる。
子どもたちの日ごろのスポーツ活動に関しては やはり心配が耐えない。指導者やボランティア、さらには親でも、こうした知識は持っていたほうがいいだろう。
(文=編集部)