連載「“国民病”腰痛の8割以上はなぜ治らないのか」第23回

「どっこいしょ」がぎっくり腰を防ぐ~無意識の心の<かけ声>がケガを減らす

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自分自身に<声をかける>

 それを踏まえて、「どっこいしょ」の効果について再考すると、かけ声は「これから体を動かしますよ」という自分自身への合図であり、スイッチになのだ。

 自分自身に<声をかける>ことで、体が動く準備を無意識にしている。よって、声かけをすることによってぎっくり腰などのケガを防ぐ効果につながるのである。逆にこれを怠ると、どんなに筋力がある人でもぎっくり腰になることがある。

 余談だが、空港で見かける、荷物に貼られた「Heavy(重い)」のシール(タグ)。あれは荷物を運ぶ従業員のためだ。

 これは「この荷物は重いから気をつけて」という注意である。先ほど説明したように、このシールを目にすることで「重い荷物をこれから運ぶ」という準備を体に促すのだ。

 つまり、荷物を持ち上げるために脳と身体が準備をする<かけ声>の役目も担っている。

 見た目は同じようなスーツケースでも中身の重さはそれぞれ違う。このシールがなければ、運ぶ前、抱える前に脳が準備ができない、つまり「フィードフォワード制御」が働きづらくなる。これがケガの原因のひとつになる可能性がある。

 「どっこいしょ」をはじめとする<かけ声>には、このような役目を秘めている。人前でかけ声を出すのは気恥ずかしく感じるかもしれないが、せめて心の中だけでも、自身に<声をかけて>準備をしよう。これが、ぎっくり腰を防ぐコツのひとつである。

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三木貴弘(みき・たかひろ)
理学療法士。日本で理学療法士として勤務した後、豪・Curtin大学に留学。オーストラリアで最新の医療、理学療法を学ぶ。2014年に帰国し、東京の医療機関に理学療法士として勤務。現在は札幌市の整形外科専門の医療機関に勤務。その傍ら、一般の人に対しても正しい医療知識をわかりやすく伝えるために執筆活動にも力を入れている。執筆依頼は、”Contact.mikitaka@gmail.com”まで。
 
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