連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」第27回

ロシアで49名が死亡! 「メタノール」使用の入浴剤を<酒代わり>に飲んで起きた悲劇

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実際に診察した急性メタノール中毒による自殺未遂の事例

 しかし、自殺目的でメタノールを飲用する症例は、依然として散見される。

 飲用後、数時間は激烈な症状を伴わない例も認められるが、その後の失明や、呼吸器や循環器への症状が重篤だ。治療法方法は、推定メタノール血中濃度が40mg/dl以上であれば、積極的に血液透析を行うのが効果的である。つまり、早期にメタノールを体外に排泄させることが肝要なのである。

 10年ほど前に、ウインドーウオッシャー液を飲んで自殺を試みた30歳代のサラリーマンの男性を診察したことがある。彼は、数カ月前より職場の上司や同僚との折り合いが悪化し、さらに妻との不和なども重なり落ち込んでいた。

 自宅で一人になった時、事前に購入していたウインドーウオッシャー液(100ml)を飲んで自殺を図った。次第に嘔気、腹痛、頭痛を訴え、約2時間後に妻が外出より帰宅した際、ウインドーウオッシャー液を飲んだことを伝えた。

 3時間後に救急搬送され、来院時、メタノールを飲んだことが確定したため、推定血中濃度を測定。その数値は、65mg/dlと高値であった。即座に胃洗浄を行い、その後、血液透析を5時間行った。終了後の濃度は7.5mg/dlと著明に減少した。

 幸い視力低下などの眼症状はなく、患者は4日後に退院することができた。

 メタノールの危険性はまだまだ広く認識されていない。
 

連載「恐ろしい危険ドラッグ中毒」バックナンバー

横山隆(よこやま・たかし)

日本中毒学会評議員(同学会クリニカルトキシコロジスト)、日本腎臓学会および日本透析学会専門医、指導医。1977年、札幌医科大学卒、青森県立病院、国立西札幌病院、東京女子医科大学腎臓病総合医療センター助手、札幌徳洲会病院腎臓内科部長、札幌東徳洲会病院腎臓内科・血液浄化センター長などを経て、2014年より札幌中央病院腎臓内科・透析センター長。2015年8月に同病院退職。
専門領域:急性薬物中毒患者の治療特に急性血液浄化療法、透析療法および急性、慢性腎臓病患者の治療。
所属学会:日本中毒学会、日本腎臓学会、日本透析医学会、日本内科学会、日本小児科学会、日本アフェレシス学会、日本急性血液浄化学会、国際腎臓学会、米国腎臓学会、欧州透析移植学会など。

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