特定の指示のない限り、薬はコップ1杯の水で(shutterstock.com)
寒さが厳しくなり、風邪やインフルエンザ、ウイルス性の胃腸炎にも注意を払いたいこの季節。病院で薬を処方してもらったり、受診するまではなくとも念のために市販薬に手が伸びたりする人も増えてくるだろう。
市販薬か処方薬かを問わず、私たちが薬を飲むときは大抵、「いつ飲むか」「どれだけの量を飲むか」に注意を払う。また、薬同士に相互作用があることも認識しているから、自分の判断で薬を一緒に飲むのは「危ない」と感じて避けるだろう。
だが、薬を<どうやって飲むか>や<食品の飲み合わせ>には、割と無頓着ではないだろうか? どうやら、その辺りの事情は海の向こうでも同じようだ。
薬はなぜコップ1杯の水で飲むべきなのか?
「米国家庭医学会(AAFP)」では、薬を飲むときの注意点として「ラベルをよく読もう」「相互作用に関する注意、指示、警告を確認しよう」といったことのほかに、次のような発信をしている。
●ほかに指示のない限り、薬はコップ1杯の水で飲もう
手元に水がないときなど、小さな錠剤ならついそのまま飲んでしまいそうだが、水なしで飲むと薬がのどや食道にひっかかり、食道炎や潰瘍を起こすこともある。
特にカプセルはくっつきやすいので注意が必要だ。水が少なすぎても、薬の吸収が低下したり遅くなったりして、薬の効き目が悪くなることがある。
●指示がない限り、錠剤やカプセルは割ったり砕いたりしてはいけない
効果を最大限に引き出すため、薬は中を何層にも分けるなど工夫されている。腸に働きかける薬には、胃で溶けないように周りがコーティングされている場合があるが、薬を砕くとその工夫が無駄になる。
またカプセルを割って飲むと、胃を荒らしたりする場合もある。薬が大きくて飲みづらい場合は、医師や薬剤師に「砕いてもよいか」「別の小さい薬がないか」を聞くといいだろう。
●アルコールと一緒に飲まないこと
アルコールは薬と同様に肝臓で代謝されるため「効果が出すぎる」「効果が阻害される」「副作用が強くなる」など悪い相互作用を引き起こす。たとえば精神安定薬は効き過ぎて意識を失ったりする危険性がある。
血圧降下剤は血圧が下がりすぎ、脳貧血を起こすことも。また、アセトアミノフェンという解熱鎮痛薬はお酒と一緒に飲むと強い肝毒性を示すことがある。
●サプリメントと一緒に飲むのは避けよう
市販のサプリメントでも成分によっては薬と同時に摂取することにより、薬の吸収を妨げたり、良くない相互作用が起きたりすることがある。たとえば「カルシウム×強心薬」の組み合わせは結石ができやすくなる。
「鉄サプリ×甲状腺ホルモン薬」は鉄分の吸収が妨げられてしまう。薬を服用している間のサプリメント摂取は避けるか、事前に医師や薬剤師に確認した方がいい。