がんの目印となる「腫瘍マーカー」は信用するな!数値の変化に一喜一憂してはいけない問題点とは?

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腫瘍マーカー「CEA」「TPA」「CA125」などの特性とは?

 一般社団法人日本衛生検査所協会によれば、腫瘍マーカーには多くの種類がある。たとえば、数値が高ければ、がんの可能性を示唆する「CEA」、数値によりがんの量や病状が分かる「TPA」、卵巣がんの可能性を示す「CA125」などだ。

 CEAは胎児の早期の受精卵細胞と共通する物質で、がんが発生すると、特殊なタンパク質、酵素、ホルモンを生成する。基準値は5.0(ng/ml)以下。喫煙者や糖尿病患者は高い。数値が高まると、大腸がんや肺がんなどの可能性がある。個人差が大きいので、早期発見には向かない。経過、再発、転移の可能性の判断に有効とされる。

 TPAは非特異的腫瘍マーカーで、がんに高い数値を示す。基準値は75.0 U/L未満。臓器特異性は乏しく、良性疾患でも陽性を示す場合があるため、早期診断には向かない。がんの量や病状、病期と関連して増減するので、経時的な推移を観察すれば、転移や再発の予測、治療効果の判定の指標として有効だ。

 CA125は卵巣がんに特異性が高く、診断や治療効果の指標になる。基準値は35U/ml以下。 漿液性腺がん、移行上皮がん、類内膜腺がんの陽性率は80~90%と高い。閉経後は安定するが、閉経前は月経によって大きく変動するとされる。

 その他、乳がんの腫瘍マーカーには、CA15-3、CEA、BCA225、NCC-ST-439、HER2などがある。早期診断の陽性率は低いが、手術後の抗がん剤や放射線治療の効果や、再発の兆候の判定には有用だ。

 また、PSAは前立腺がんに特異性の高い腫瘍マーカーで、がんの発見や経過観察に重要な役割を果たす。基準値は4.0ng/ml未満。前立腺炎や前立腺肥大で上昇することもある。

がんが進行しても腫瘍マーカーの数値が上昇しない人がいる

 さて、一般的にがんが進行すると腫瘍マーカーの数値は上昇するが、進行しても上昇しない人がいる。末期の人でも、数値が下がる場合もある。数値が高くても、必ずしもがんとは限らない。さらに、基準値は測定法によって異なるため、検査値を読む場合は、どの測定法が用いられたかを確認することも大切だ。

 医療現場では腫瘍マーカーが漫然と測定されるケースもあるため、数値に一喜一憂して翻弄される人が後を絶たない。腫瘍マーカーの意味、目的、不利益をなどをよく理解して適切に活用すべきだろう。

 ただ、特に40歳以上の人は、定期的に検診を受け、早期発見・治療に努めれば、予後が改善されるのは確かだ。腫瘍内科などのがん検診を定期的に受診しよう。
(文=編集部)

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