小倉智明公式ブログ、OG's Diaryより
今朝、ネットニュースを見ていたら、有名なアナウンサーが膀胱がんに罹患して、膀胱全摘手術を勧められたが、手術を拒否して遺伝子治療を受けているとあった。
膀胱がんに遺伝子治療????これまでに米国で承認された例などないので驚いた。そこで「膀胱がん・遺伝子治療」をキーワードでネットを調べてみると、一番上位に「白衣を着た詐欺師」が現われた。
ウエブページには下記の文面が出ていた。
2010年にデンドレオン社の治療用ワクチンが米国FDAで承認されたのは事実だが、「膀胱がん」ではなく、「前立腺がん」に対してである。
この「前立腺がんワクチン」は前立腺に特異的な分子を利用しているので、理論的には膀胱がんには全く効くはずがない。
まさに、詐欺師の詐欺師たるゆえんだ。言葉のすり替えなど、お構いなしだ。
糖尿病治療薬のインスリンを、高血圧治療薬として利用しているようなものだ。アナウンサーがこの病院で治療を受けているのかどうかわからないが、膀胱がんの遺伝子治療など、私の知る限り承認を受けているもの、科学的に実証されているものはない。
そして、メディアに登場する人が、無責任な発言をすると、他の患者さんにまで大きな影響を及ぼし、白衣を着た詐欺師の害をまき散らす。
いったい、どのクリニックが、どのような科学的根拠に基づいて、自由診療としてこのような遺伝子治療を提供しているのか、ハッキリして欲しい。自分がどのような治療を受けようが、本人の自由だが、詐欺師の片棒を担ぐようなコメントは読んでいて腹立たしい。
他の患者さんたちが、惑わされないように、どこで、どんな種類の治療を受けているのか、ハッキリさせるのが、アナウンサーとしての責任ではないのか!
※『中村祐輔のシカゴ便り』(http://yusukenakamura.hatenablog.com/)2016/1016 より転載