がんの目印となる「腫瘍マーカー」は信用するな!数値の変化に一喜一憂してはいけない問題点とは?

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腫瘍マーカーの検査は血清にモノクロール抗体という試薬を加え測定(shutterstock.com)

 古代ギリシアの時代から「がん」と悪戦苦闘した人類――。

 ヒポクラテスは、乳がんが蟹のように爪を伸ばして食い込む様子を見て驚く。アウルス・コルネリウス、かに座(Cancer)の名を借用して、がんを「Cancer」と名づけた。古代ローマのガレノスは、がんは黒胆汁から生じると考える。情欲、禁欲、憂鬱、憎悪の真犯人説を妄信する、がん冥迷の時代が19世紀まで続く。

 体内の細胞の一部が異常分裂し、しこりを生じるのが腫瘍。腫瘍のうち「悪性腫瘍」が「がん」だ。がんは、診断が極めて難しい。それが、がんが難病とされる根拠のひとつだ。

 がんの診断法は2つある。集団検診(がん検診、術後検診)と臨床診断(病理診断)だ。そして、がんの根治の王道は、早期発見と全摘出手術の可能性に尽きる。集団検診と臨床診断が効果的に融合しなければ、がん治療は成功しない。

がんの目印となる腫瘍マーカーって何?

 がんができると、健康体に見られない特殊な物質が血液中に大量に出現する。このがんの目印となる物質を「腫瘍マーカー」と呼ぶ。腫瘍マーカーは、がんが発生した臓器や組織と高い関連性あることから、血液中に基準値以上に出現すれば、がんの存在を推測する強い根拠になる。

 腫瘍マーカーの検査は、採取した血清にモノクロール抗体という試薬を加え、モノクロール抗体と腫瘍マーカーが結合した数値を測定する。尿や膣分泌液などを使って検査する場合もある。

 自治体の住民検診では、胃、肺、大腸、乳房、子宮などの発生頻度の高いがんのスクリーニング(ふるいわけ)検査が行われている。

 一方、人間ドックでは、尿、便、血液の検査や、触診、喀痰、膣分泌液の細胞診、各臓器のエックス線、超音波検査をはじめ、内視鏡、注腸X線、マンモグラフィー(乳房X線)、腫瘍マーカー、肝臓、腎臓、前立腺などの検査項目が追加され、より高精度の検査が行われている。

腫瘍マーカーの問題点

 しかし、腫瘍マーカーの検査は、現状では理想的な検査とはいえず、問題点を抱えている。なぜだろう?

 理由はただひとつ。腫瘍マーカーの検査は、がんがないのに、腫瘍マーカー値が上昇する偽陽性を示す場合がある。逆に、がんがあるのに、腫瘍マーカー値が上昇しない偽陰性を示す場合も少なくない。

 つまり、腫瘍マーカーが陽性でも「がん」がない時もあれば、陰性でも「がん」を否定できない時もある。確定診断が定まりにくい診断法、それが腫瘍マーカーだ。

 その結果、腫瘍マーカーは、腫瘍が悪性か良性かを診断するために実施するがん検診(がんの早期発見)に補助的に利用される場合が多い。むしろ、早期がん手術後の経過を観察したり、再発を早期発見したり、抗がん剤治療や放射線治療の効果を調べるために、進行がんの勢いの評価や治療効果の判定を進める時に活用されている。

 したがって、がんの確定診断は、腫瘍マーカーの検査に併せて、超音波検査、X線CT、MRI、PET、血管造影などの画像診断、生検などを統合して実施している。

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