薬物療法、認知行動療法、リラクゼーション法を併用すれば完治する
だが、視線恐怖症は、緊張しやすい性格に起因すると誤解されたり、病気という意識がない場合も少なくない。視線恐怖症になると、不安や恐怖だけでなく、赤面、多汗、目まいなどに襲われることも多い。
視線恐怖症の治療法は?
薬物療法なら、症状に応じて抗うつ薬(SSRI)や抗不安薬が処方される。抗うつ薬(SSRI)は、扁桃体に働きかけるので、不安が抑えられる。抗不安薬は、緊張や不安を一時的に軽減させる効果がある。動悸、発汗、震えなどが強い時は、β遮断薬が使われる。
薬物療法に併用して、思い込みや認知(考え方)を修正・改善する認知行動療法が行われる。不安に少しずつ慣れさせるエクスポージャー(曝露療法)や、不安感の思い込みを修正する認知再構成法などがある。
視線恐怖症のセルフチェックしよう
以下のようなシーンに自分が置かれた時に、緊張を感じたり、強い不安に襲われるかどうかをセルフチェックしてみよう。
□大勢の人の前で話をする時
□公の場で挨拶する時
□人の集まる場所で自己紹介する時
□会議や授業などで自分の意見を発表する時
□目上の人や権威ある人と話す時
□仕事の電話など、よく知らない人に電話をする時
□初対面の人と話す時
□面談、面接を受ける時
□披露宴等の受付など、人に見られている場所で署名する時
□外食する時
いかがだろう? 3つ以上の項目にチェックが入った人や、少しでも気になる症状がある人は、精神科、精神神経科、心療内科、メンタルヘルス科の受診を薦めたい。
米国の作家ラルフ・ワルド・エマーソンは言った。「恐怖はつねに無知から生まれる」と。
視線恐怖症は、本人の性格ではなく、適切な治療を受ければ、完治できる病気だ。不安や緊張があるのは、「人間だから当たり前」くらいの大らかな気持ちでいることも必要かもしれない。
恋人は見つめ合う。母親と赤ちゃんは見つめ合う。以心伝心のアイコンタクトだ。日本人なら、相手の気持ちを気づかう、生まれながらの温かい心を持っているはずだ。
(文=編集部)