小さな動物ほどリスクが高い blanche/PIXTA(ピクスタ)
政府は2020年(東京オリンピック・パラリンピック)に向けて、受動喫煙規制のための新法整備に乗り出す模様だ。
駅などの公共施設は全面禁煙とし、レストランやショッピングセンター、ホテルなど不特定多数の人が利用する施設は、分煙を義務づけ、違反者への罰則も設ける見通しだ。
禁煙ムーブメントは国際的な潮流だが、喫煙者にとっては肩身が狭い。タバコを吸う権利ぐらいある、という主張もある。一方で、吸わない人は、タバコの煙を吸わない権利がある、と声高だ。
受動喫煙の悪影響は、今や広く知られるところ。とくに、成人よりも体の小さな子どもへの影響は深刻だ。
もっと体の小さな動物へのリスクも指摘されている。とくに、欧米の多くの小動物専門医から、ペットに対する副流煙の危険性について、近年多くの警告が出ている。
がんや細胞損傷、体重増加などのリスクがアップ
昨年12月29日、英・グラスゴー大学の研究者らが、受動喫煙による犬や猫の健康被害について発表を行った。研究によると、タバコの煙にさらされている犬や猫などのペットは、がんや細胞損傷、体重増加などのリスクが高いという。
たとえば、猫のニコチンレベルを測定すると、飼い主の喫煙本数が10本以下であっても、非喫煙家庭の猫よりも明らかに高い数値になった。また、去勢された犬の睾丸を検査したところ、喫煙家庭の方が細胞損傷の形跡が見られ、かつ、去勢後の肥満傾向も高かったという。
以前より、アメリカの「米国動物虐待防止協会 中毒事故管理センター(ASPCA Animal Poison Control Center)」では、喫煙家庭で飼われている犬は、肺がんになる確率が60%以上増加する、と明言している。
なかでも、コリーのように鼻の長い犬種は、副鼻腔が化学物質のフィルターの役目を果たすため、副鼻腔がんになりやすい。反対に、パグのように鼻の短い犬種は、副流煙が直接肺に流れ込むため、肺がんになりやすいことを、明らかにしている。
さらに、毛づくろいの習慣がある猫の場合は、被毛についた化学物質をなめて、体内摂取することから、悪性リンパ腫が発生しやすいという。