“ダイエットの味方”に転じさせるには
研究に際しては、2万3000人強のイタリア人を対象とした2種類の大規模研究データから有効なものが用いられた。
うち1件は、イタリア半島南部に位置する「モリーゼ州」の住民らを対象としたMoli-saniプロジェクトのもの。もう一方は、イタリア全域の食習慣を調査した「全国健康栄養調査(INHES)」の結果がサンプルに選ばれた。
解析の結果、両群の男女いずれにも共通の傾向が読み取れた。それは、パスタの摂取量が多い人ほど、総じて「地中海食」を食す頻度も高いことだ。
加えて、パスタの摂取量がBMIやウエスト周囲長、ウエスト・ヒップ比との逆相関を示し、過体重や肥満の元凶とされる世間の印象に反して“有病率の低下”につながる、という意外な関連性が読み取れたわけだ。
ただ、研究班は「適度」と慎重な言い回しを用いながら、具体的にどの程度の量までパスタを摂取できるかに関しては明確な言及を避けている。
パスタを食べるなら地中海食で
しかし、Pounis氏の同僚で責任著者であるLicia Iacoviello氏の補足説明が、パスタ善悪論の分水嶺を物語ってもいる。
「肥満の人々は総じて、適正体重~過体重の層に較べると高齢で、ウエスト周囲長やウエスト・ヒップ比も大きかった。正直なところ、社会経済的な地位が低く、1日当たりのパスタの消費量も多いという顕著な傾向が見られる」
つまり、パスタ悪玉説を覆す今回の知見は、一緒に味わう「地中海食」の頻度を条件としている。そう、「パスタも食べたい、ダイエットも成功させたい」ならば、地中海食でいただくべき。パスタを楽しみたければ、単品は避けておいたほうがよさそうだ。
(文=編集部)