動脈硬化を乳酸菌で改善(shutterstock.com)
脳卒中と心疾患は言わずと知れた現代病――。日本人の死因の第1位はがんだが、それに続いて3人に1人が脳卒中や心疾患で命を落としていると言われている。この脳卒中と心疾患のリスクファクターとして、高血圧や糖尿病と並んで挙げられるのが、脂質異常症、つまり高コレステロールだ。
動脈硬化を促進するコレステロール
コレステロールは体の中に存在する脂質の一種だ。その7割が肝臓をはじめとした体内で合成され、残りは食物など体外から摂取される。
コレステロールというと「悪者」というイメージがあるが、実は人体に不可欠な存在でもある。我々の体を構成している数十兆個に及ぶ細胞を包む膜の原料となったり、ストレスを受けたとき心身の活力を高める副腎皮質ホルモンなどの材料になったり、脂肪の消化吸収を助ける胆汁酸の材料にもなっている。
通常、健康な人であれば、体内で一定量のコレステロールが保たれる機能が働き、食事で多少大目に摂取したところで、体内で合成される分が減るなど調整が行われる。ところが、コレステロールの摂取が多すぎたり、加齢や運動不足などの原因から、血液中のコレステロールが過剰になると問題が起こる。
血中のコレステロールが増えすぎると、中性脂肪などとともに血管に溜まり、血管の内腔を狭くしていく。よく古くなったゴムホースにたとえられるが、血管は弾力を失って硬くなり、ボロボロになっていく。これが動脈硬化だ。
動脈硬化自体、症状があるわけでもなく、それが直接の死因となるわけでもない。しかし、狭くなった内腔に血栓が詰まると、組織に血液が巡らなくなる。それが脳で起これば脳卒中、心臓で起これば心筋梗塞となる。そこまでいかなくとも、細動脈硬化によって脳の認知が悪くなったり、腎臓に影響を及ぼすなど、体の様々な不調の原因となる。これが高コレステロールの怖い点だ。
悪玉コレステロール(LDL)と善玉コレステロール(HDL)
ただ、コレステロールの過剰といっても、単にコレステロール値が高いからすぐに悪いというものでもない。そこで問題になるのが、いわゆる悪玉コレステロール(LDL)と善玉コレステロール(HDL)だ。
もともとLDLコレステロールは、コレステロールの運搬役を担っているが、過剰になると血液中に溜まり、動脈硬化を促進する原因となる。一方、HDLコレステロールは、血液中に残ったコレステロールを肝臓に運ぶ、いわば回収役となる。
つまり、LDLコレステロールは増えすぎないほうがよく、HDLコレステロールの値は高いほうがよい。このため、総コレステロールの値だけでなく、これら悪玉と善玉コレステロールの割合も問題となる。