聞こえないのは故意か老いか?(写真は東京都庁のHPより)
故意か? 老いか!? 自分に不都合な案件が出た途端、聞き逃しや聞き直しが増える老人像は、古くから落語の世界でも描かれてきた。あれを「勝手耳」と呼ぶそうな。
今回、「第三者の目」なるご都合用語に終始した舛添要一都知事の弁明会見で連想されたのは、伝説的な号泣記者会見で一躍時の人になった野々村竜太郎・元兵庫県議会議員だ。
女性記者の追及が目立った件の会見では、“号泣議員”を連想させるほど舛添氏は耳に手をそえて質問を聞き直す場面が印象的だった。早速、ネット上でも号泣議員と舛添氏のコラージュ画像がアップされてイジラれる事態に。
女性の甲高い声(高音部)から聞き取りにくくなるのが、「老人性難聴」のひとつの前兆だ。60歳を超えると加齢にともなう聴覚中枢の細胞減や劣化で聴力が衰えるが、現都知事は御年67歳。
耳垢の詰まりが原因の「耳垢栓塞」も高齢者に多い症状だが、ストレスが原因で突発的に起きる例も多い「心因性難聴」であれば年齢は直接関係ない。
美術品よりも「黄色い食品」をオススメしたい
高齢者の場合、突発性難聴の初期症状である「耳鳴り」が日常化すると、放置してしまう傾向が顕著のため、治療が難儀となる例も多い。
予防にはビタミンEの積極的摂取が効果的で、卵黄やカボチャやバナナなどの「黄色い食品」がいいとされる。舛添氏には「美術品」よりも「黄色い食品」の購入をオススメしたい。
一方、補聴器の利用者が「ウルサイから」との自己都合で音量を絞ってしまうのは正しい使い方ではないらしい。周囲と同じ感覚を得ること自体が何よりも肝要で、それがものの良し悪しを知る手立てとなるからだ。
であるならば、舛添都知事はココロの補聴器を絞り過ぎなのかもしれない。でなければ、都民の(叱)声が届かぬはずはないし、「第三者の目」という苦肉の杖まで持ち出して茨の道を歩むまでもなかろうに……。
また、外耳・中耳・内耳、あるいは蝸牛神経、脳幹にも明らかな(器質性)障害が見当たらない症例がある。にもかかわらず、聴覚検査の結果で異常が指摘される場合を「機能性難聴」ないしは「非器質性難聴」と呼ぶ。
前者のうち、精神的ストレスが明らかな原因である場合を「心因性難聴」とし、(保険狙いなどの目的から)本人の意図的偽装行為と思しき難聴状態を「詐聴」と分けている。そのどちらにも属さず、原因不明な真の機能性難聴のみを「非器質性難聴」と呼ぶ。