"路チュー""無理チュー"で雲隠れ......
今月、中川郁子農林水産政務官と同僚議員との"不倫路チュー"が報じられた。その途端に中川政務官は緊急入院し、入院中の病室で喫煙をして注意されていたことが週刊誌で報じられて批判を浴びた。
13日の衆院予算委員会では、喫煙の事実を認め、「不眠不休が続き、病院のルールに深く思いを致さなかった。誠に申し訳ない」と陳謝。「自らを戒め、職務にまい進していきたい」と述べ、改めて辞任を否定した――。
夫・中川昭一氏の急逝、弔い戦を得て代議士デビュー、政務官への抜擢、不倫・路チューと世間の耳目を集めるには事欠かない。今回の騒動に関しては「酒席の後だった」「魔がさした」と弁明した。
政治家の「スキャンダル発覚」「雲隠れ」「ほとぼりが冷めるのを待つ」というパターンは、目新しくはない。昨年も、フィギュアスケートの高橋大輔選手との"無理チュー"写真をスクープされた橋本聖子議員が直後に入院した。
中川政務官は、3月6日の国会に出席を求められていたが、不倫を報じた雑誌が発売された5日に体調不良で緊急入院。入院したのは1泊8万円という都心の大病院のVIPルームだという。
ここでは不倫の是非は論じないが、国は膨れ上がる医療費を抑制するために四苦八苦し、国民も結果的に保険負担料のアップを強いられている。
現在、医療費は年40兆円近くあり、高齢化に伴って1兆円規模で毎年増加している。入院費は全体の4割の15兆円だ。国民の血税で大病院の超高級部屋に雲隠れし、さらにルールに反した喫煙で注意されるという失態に対して、国民は納得するだろうか。
「身を切る改革」はどこにいった?
この騒動の直前、政府は3月3日、40兆円近くに達した医療費の抑制策を柱とする医療保険制度改革関連法案を閣議決定した。入院食の自己負担を3年で1食260円から460円に増額、紹介状なく大病院を訪れた患者には5000円以上の負担、サラリーマンの保険料率の上限を13%に引き上げるなどの案が盛り込まれた。政府はさらに、6月にまとめる財政再建計画で追加の抑制策を打ち出す予定だ。
一方、財務省はさらなる医療費抑制策として、新薬の処方を受ける際、同じ成分で作られた安価な後発医薬品との差額を全額自己負担とする案や、風邪など軽い病気の医療費の一部を保険適用外とする「免責制」の導入、湿布などの全額自己負担化、高齢者の窓口負担割合のアップなどを提起している。
財政再建には数兆円の財源が必要だが、財務省案が仮に実現しても、数千億円の抑制効果だという。一方、国会議員は、増税の大前提として約束した、歳費カットや定数削減などの「身を切る改革」は全くせずに国民を裏切り続けている。