遅刻したら、まずは誠心誠意の謝罪を
桜の季節もそろそろ終わり、新社会人の若者たちや中途採用の中堅層も、新しい職場に「慣れ」が出始める時期だ。「入社早々遅刻するわけにはいかない!」と、気合いを入れて早めに出社していた緊張感もゆるみがちになる人もチラホラと現れてくる頃かも知れない。
遅刻といえば、自由民主党所属の参議院議員、片山さつき氏の遅刻問題が耳に新しい。片山氏は今年3月30日、自ら委員長を務める参院外交防衛委員会理事懇談会に2分ほどの遅刻をした。実は片山氏は、2月の理事会にも遅れた経緯がある。
3月31日の理事会では、遅刻を謝罪、さらに4月2日の同委員会冒頭で陳謝するも、民主党議員から「自身の言葉で謝罪を」と指摘されると、「二度とこういうことがないようにと本当に注意をしていて......。本当に、本当に申し訳なく思っております」と頭を深々と下げ、声を詰まらせ、涙も浮かべながら謝罪した。ネット上など一部には「ウソ泣きだ」と責める声すらある。
今回は、「2度目の遅刻。配慮があまりにも欠けている」との野党の抗議によって会の開催そのものが見送られた。
一口に遅刻といっても、シチュエーションはさまざまだ。ビジネスシーンなら、出社の遅刻、会議や訪問などアポイントメントの遅刻。プライベートは、デートや友人との待ち合わせ。店で品物の提供を想定以上に待たされることや、レンタル品の返却延滞なども遅刻の一種だろう。
遅刻の特色は、された側の受け止め方に一定の法則がないことだ。「なぜ遅刻したのか」という理由や「常習性の有無」、そして「遅刻したときの態度や謝罪のしかた」を、遅刻された側が微細に感じるものだからだ。
ウェブサイト『マイナビウーマン』によると、理由がどうあれ、待たせた時間が何分であれ、待たされた側の怒りの度合いは非常にまちまちであることが分かる。
「待ち合わせの時間に来ず、連絡したら寝ていた」、「1分でも遅刻は謝るべき」、「毎回30分以上遅刻する友人に憎しみすら覚える」「レジで店員が客と話し込み5分以上待たされ怒りMAX」「友人の寝坊でイベントに参加できなかった。悪びれずサラッと謝罪され、『気にしないで』と応じた自分がバカみたい」「遅刻の理由が『困った人を助けていた』。遅刻した上にいい人に見られたいという言い訳」「体調不良や家族が病気もウソに違いない」......。
指先一本使わずに相手を人間的に悪くさせる不道徳な方法?
遅刻については、19世紀後半ドイツの哲学者、ニーチェも『人間的な、あまりに人間的な』の中で言及している。
「遅刻はよくないことだ。マナーとか、約束だとかいう、それだけの問題ではない。待っている間に、相手はあれこれと想像をめぐらせる。心配し、不快になり、腹をたてていく。つまり、遅刻をするということは、指先一本使わずに、相手を人間的に悪くさせてしまう、不道徳きわまりない方法なのだ」
ムカムカしたり、理由を疑ったりうんざりしたりと、相手への悪影響は計り知れない「遅刻」。「お金」「異性」、そして「時間」の3つにルーズであることは、人に信用されない最たる原因であるといわれている。
「遅刻」は、たとえ5分でも相手の人生をムダにさせ、なおかつ心情をイライラと悪くさせる。「遅刻常習犯」の烙印は、あなたの信用をジワジワと蝕んでいくのだ。
(文=編集部)