連載「死の真実が“生”を処方する」第27回

遺伝子検査は「高価な占い」? あなたの運命は生活習慣次第で変わる!?

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遺伝子の異常で発症するのはごく一部

 インターネットで「遺伝子検査」と入力して検索すると、200種類以上の測定ができる遺伝子検査キット、太りやすいかどうかの体質がわかる遺伝子の検査など、多くの検査や製品が紹介されています。誰でも手軽に遺伝子検査ができる時代になったのです。

 また、口腔粘膜を擦ったものを会社に送付すれば、そこでDNAが抽出できるので、一斉に遺伝子の検査ができるというわけです。そして日本人の平均に比べて、さまざまな病気の発症の危険性がどのくらい高いのかなどが、個々人に対して判断されます。

 このような検査を行う目的は何でしょうか? 数字を出すことで、もし肥満になりやすい体質であることがわかれば、日頃から食生活や運動習慣に気を付け、病気の予防が推進できるということでしょう。

 しかし、ある遺伝子の異常によって必ず疾患が発症することがわかっているのは、ごく一部です。

 しかも、そのような疾患については慎重な診断とともに、その後に適切な医学的カウンセリングや指導が必要とされますので、上記のような民間の遺伝子検査では扱えません。そのほかの多くの疾患は環境要因などが重なって病気の発症が決まります。

 ですから、遺伝子検査の結果を安易に解釈することは危険なのです。ある高名な先生は、このような遺伝子検査のことを「高価な占い」とおっしゃっています。ちなみに、親子鑑定などもこのような民間のサービスで行っているところがあります。


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一杉正仁(ひとすぎ・まさひと)

滋賀医科大学社会医学講座(法医学)教授、京都府立医科大学客員教授、東京都市大学客員教授。社会医学系指導医・専門医、日本法医学会指導医・認定医、専門は外因死の予防医学、交通外傷分析、血栓症突然死の病態解析。東京慈恵会医科大学卒業後、内科医として研修。東京慈恵会医科大学大学院医学研究科博士課程(社会医学系法医学)を修了。獨協医科大学法医学講座准教授などを経て現職。1999~2014年、警視庁嘱託警察医、栃木県警察本部嘱託警察医として、数多くの司法解剖や死因究明に携わる。日本交通科学学会(副会長)、日本法医学会、日本犯罪学会(ともに評議員)、日本バイオレオロジー学会(理事)、日本医学英語教育学会(副理事長)など。

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一杉正仁
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