インタビュー「ここから変わる! 美容外科の世界~グローバル化する日本の美容医療」第1回 聖心美容クリニック 鎌倉達郎 統括院長

アジア圏での“独特の美”を追求~世界トップクラスの症例数を誇る日本の美容医療

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国際学会の統計で日本は世界トップクラスの症例数(shutterstock.com)

 日本の美容医療は、果たして世界のトップレベルなのか――。

 近年、大きな進歩を見せる“美容医療”。美に対して追求することへのハードルも下がり、その評価が認知される一方で、事故やトラブルが報じられれば、「患者=消費者」が不安に駆られるのは自然といえる。

 現在では、渡航して美容医療を受ける日本人も増加。手軽さもあいまって韓国も選択肢のひとつとなっている。そこで気になるのは、冒頭の関心事だ。

 5月17~18日、「第104回日本美容外科学会(JSAS)」が開催され、国内外から医師をはじめ817名の関係者が参加した。2日間にわたりグローバルで具体的なセッションが行われ、盛況のうちに終了した。

 この学会の会長を務めたのは、聖心美容クリニックの統括院長である鎌倉達郎医師。国内外に10院を有する聖心美容クリニックグループは、患者の満足を第一に高品質な医療の提供を標榜し、最先端技術の再生医療分野にも積極的に取り組んでいる。

 鎌倉医師は、今回のメインテーマを「日本から世界へ、そして世界から日本へ」と掲げ、閉会の挨拶では「さまざま医師が、知識や技術のいわゆる“ゴールドスタンダード”を安定させ、その先にあるエキスパートを追及、蓄積していく共有の場」と、グローバルなレベルでの成長を訴えた。

国際学会の統計で日本は世界第3位の症例数

 鎌倉医師に、日本の美容医療の現状と世界の趨勢について聞いた。

 「もともと美容外科から始まった美容医療の分野は、ここ10年ほどで皮膚科的な観点での技術が進展し、それに伴いさまざまな分野の医師が関わるようになりました。そこで、医師全体のボトムアップが求められています」

 では、海外と比べて、日本の美容医療のレベルはどうなのだろうか?

 「日本に限らず“ピンキリ”はすべての国にある。ただし、美容形成外科の国際学会のISAPS (International Society of Aesthetic Plastic Surgery)が発表した統計によると、日本はアメリカ、ブラジルに続き、世界第3位の症例数を誇ります。医療の質をどう評価するかは難しいが、ひとつの目安となるはずです」

 ISAPSは美容形成外科における世界最大の学会だ。同会に登録している99カ国の人口は世界の83%(58億人)を占める。

 「ISAPS International Survey 2014」では、3万5000人の形成外科医に報告を求めたところ1391人が回答を寄せた。そして、各国の人口や国内総生産に基づき形成外科医の数を推定する単回帰式を用いて統計が出されたという。

 それによると、全世界の治療数は年間2000万(外科治療:非外科治療=48 : 52)に上る。ただし、中国は参加しているが、この統計には加えられていない。

 「中国は情報の集計システムが成熟していないために外れていますが、症例数はおそらく世界一でしょう。同国の美容医療の現場を見てきましたが、その規模は日本と比較にならないほど大きい。ですが、技術レベルについては、全体を平均化すると、まだまだの感はあります」

“若返り”目的の治療が増加

 興味深いのは、日本に続く第4位が韓国で、形成外科医も日本2214人に対して2054人と肉薄。ちなみに形成外科医(人)は、1位アメリカ:6300、2位ブラジル:5473。美容医療の先進国フランスは第7位で950人だ。

 そして、日本は治療総数126万(外科治療26%:非外科治療64%)で、ヒアルロン酸の注入やボトックス注射、レーザー治療などの非外科治療が多いのが特徴だ。

 「欧米に比べて、日本は目や鼻の手術の割合が多い。これは韓国も同じです。ただし、昔のような“欧米人のような目鼻立ち”という志向はなくなり、アジア圏独特な美を追求する傾向にあります」

 「そして、“若返り”、アンチエイジング目的の治療が増えています。内面は当然ながら、『見た目も大事』という考え方が浸透し、美容医療に対するハードルは確実に低くなっています」

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