どんなココアでもいいわけではない
ただし、どんなココアでも記憶力が向上するかというと、そういうわけではない。
通常の製法だと、カカオから製品を作る過程で、発酵や焙煎などの処理により90%以上のフラバノールが除去されてしまう。つまり、十分なフラバノールを摂取するには、大量のココアを飲まなくてはならないことになる。
そのため、上記の2件の試験では、「ミルキーウェイ」や「スニッカーズ」などのチョコレート菓子の製造で有名なMars社の提供する特別なココアが用いられた。Mars社はカカオ豆からフラバノールを抽出する技術の特許を所有しており、上記研究の資金も一部拠出している。
今回発売されるメモマックスにも、こうした技術が使われているようだ。開発に携わったアンドリュー・パーキンソン氏はこう説明している。
「フラバノールを通常よりも多少多く含んだカカオ豆を使用していますが、何よりも加工の過程で大きな違いが生じるのです」「我々はフラバノールを失わずにココアに出来る独特の手法を持った会社を見つけたのです。その会社はその手法を公表していません。その件に関しては厳重に保護されています」。
このココアについて現在公表されているエビデンスは、上記の小規模な研究によって得られたものである。はたして本当に記憶力の低下に悩む人々の救世主になるのか、今後の展開が注目される。
(文=編集部)