経口投与型の「1日1錠、飲むサングラス」
アキュセラ社が自社開発し、進めてきたエミクススタト塩酸塩の臨床試験の意義は大きい。
エミクススタト塩酸塩を服用した患者は症状が進行せず、プラセボグループの患者は進行したことから、エミクススタト塩酸塩の安全性、忍容性、薬理作用が確認されている。したがって、エミクススタト塩酸塩は、世界で初めて地図状萎縮を伴うドライ型加齢黄斑変性に有効な経口投与型の「1日1錠、飲むサングラス」になる可能性がきわめて高い。
窪田社長・CEOによれば、エミクススタト塩酸塩は、視細胞が過剰な光に反応しないように、光の明るさを感じる桿体細胞という視細胞にだけサングラスをかけた状態をつくる仕組みがあることから、「飲むサングラス」と呼んでいる。
しかも、1日1錠、服用しやすい錠剤タイプは、眼球注射よりも医師の負担や患者への侵襲の軽減を図るメリットもある。
世界の眼科医薬品の市場規模は、2011年に1兆8000億円から2023年に3兆5000億円へ、年率6%も伸びる見込み。とりわけ、iPS細胞治療の追風にも乗り、加齢黄斑変性治療薬への潜在ニーズは莫大のため、長期的には2.5兆~3兆円もの市場規模に急成長するポテンシャリティを秘めている。
さらに、アキュセラ社は、今年9月中旬に日本法人を東証マザーズ市場に上場すると発表している。日本の研究開発ベンチャーとの協業や研究機関との連携が強まれば、創薬承認、臨床活用も決して夢ではない。アキュセラ社のイノベーションに目が離せない。
(文=編集部)