タレント・上原さくらさんが精神科入院を告白〜精神科では“強制入院”もアリなの?

この記事のキーワード : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

私、どこもおかしくないですが、何か?

 上原さんは今回のインタビューで「『私は何もおかしくないのに、なんでここにいなきゃいけないのかな?』と思っていました」と語っている。

 精神科の場合、入院形態が5種類あり、本人の同意がなくても入院できる制度が整えられている。もちろん「入院が必要です」「はい、わかりました」と応じ、本人同意のもとに入院する『任意入院』ができれば理想的だ。

 しかし、「病識が低い、あるいは全くない」ことが症状そのものなのも、精神科の病気では大いにあり得る。つまり「入院が必要です」「私、何もおかしくないですが?」という反応だ。

 さまざまな理由で入院が必要だと医師が判断したときは、家族や後見人などの同意のもとに入院を実行できる『医療保護入院』という制度がある。実際のところ、この入院形態は利用率が高い。

 というのも、今の精神科入院は半世紀前の「一生入院」とは異なり、一時的に入院して、しっかり加療し、退院後に地域でより良く暮らすことをめざすのが基本姿勢だからだ。

 そこに賭ける気持ちを本人が持てれば『任意入院』になるが、病識がない状態の本人に代わって同意するのが『医療保護入院』だ。入院中に本人が自覚を高め、『任意入院』に切り替えて自発的に治療に取り組むようになることも多い。

 このことは上原さんの「正直、前の事務所を辞める前後のことはほとんど記憶にないんです」「振り返ると自分の状態も把握できないような状態だったのだと思います」という言葉にも表れている。

 こうした状態にあるとき、人は正常な判断能力を保てない。精神の病気とは、つまりはそういう状態に陥ることといえる。
 
 このほか『応急入院』『措置入院』『緊急措置入院』など、緊急性が高い場合に発動される入院形態もある。「衝動的にナイフを手にした」→「周囲の人が驚いて警察を呼んだ」→「ひとまず緊急入院となった」というケースは、マスコミで報じられることは少ないが日常茶飯事だ。

 一方で、精神科の入院の特徴として、必ずしも医師の診断によらず、本人の希望による入院もある。俗に「休息入院」と呼ばれ、本人が安心を求めるなどの理由で、緊急避難的に院内で過ごすものだ。

 必要なのに受け入れなかったり、必要ないのに希望したり、精神科病院の入院は一筋縄ではいかないものである。
(文=編集部)

バナー1b.jpeg
HIVも予防できる 知っておくべき性感染症の検査と治療&予防法
世界的に増加する性感染症の実態 後編 あおぞらクリニック新橋院内田千秋院長

前編『コロナだけじゃない。世界中で毎年新たに3億7000万人超の性感染症』

毎年世界中で3億7000万人超の感染者があると言われる性感染症。しかも増加の傾向にある。性感染症専門のクリニックとしてその予防、検査、治療に取り組む内田千秋院長にお話を伺った。

nobiletin_amino_plus_bannar_300.jpg
Doctors marche アンダカシー
Doctors marche

あおぞらクリニック新橋院院長。1967年、大阪市…

内田千秋

(医)スターセルアライアンス スタークリニック …

竹島昌栄

ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会…

後藤典子