働く女性の“4人に1人が流産”を経験〜安心して妊娠・出産ができる職場環境は遠い?

この記事のキーワード : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
964-2.jpg

妊婦に優しい職場環境を!(shutterstock.com)

 今年2月に「保育園落ちた日本死ね」の匿名ブログで炎上した待機児童問題にも見られるように、この国は先進国と言われながら依然として子育てと仕事の両立が困難なようだ。

 特に「育児の主体は女性」という性別役割分業の考え方が根強い社会では、働く女性の負担は重い。

 先日、そうした状況を象徴するかのような報道が、新聞各紙に掲載された。全国労働組合総連合(全労連)の女性部が、「働く女性の4人に1人が流産を経験している」という調査結果を発表したのだ。

仕事と流産率の関係は明らかではない

 これは、全労連が2011年以降に妊娠・出産した女性労働者にアンケートを行い、調査結果をまとめたもの。2015年4月から7月にかけて全国47都道府県の働く女性2909人を対象に実施された。回答者の内訳は、正規労働者が82.9%、非正規労働者が16.0%だった。

 それによると「過去に流産を経験したことがある」と答えた人の割合は23.2%で、おおよそ4人にひとり。ちなみに日本産科婦人科学会のホームページによると、一般に妊娠の15%前後が自然流産するといわれている。

 今回の結果は、前回調査時(2011年)の24.4%よりはやや減少しているが、平均に比べると高い数字だ。

 流産経験者612人のうち、124人が2回流産、40人は3回以上流産していた。職種別では「販売・店員」(29.7%)、「外交・営業」(25.9%)が比較的高かった。また、「妊娠中の経過が順調ではなかった」と答えた人は全体の66.1%。

 内容は「つわりが重かった」「切迫流産(妊娠22週未満で出血や痛みを伴い、流産しかかっている危険な状態)・早産を経験したことがある」「むくみがあった」などだ。

 とりわけ「切迫流産・早産を経験した」と答えた人は27.5%にのぼり、職種別では「看護師」が37.4%で最も多かった。

「仕事をやめなかったから流産」と自分を責めかねない

 ただしこの発表では、回答者が何歳で流産を経験したのかがが明らかにされていない。

 一般的な流産率は確かに15%ほどだが、年齢別にみると35歳を過ぎる頃から増加し、35〜39歳では20%、40歳以上になると40%以上の妊娠が流産に終わるとされる(参考:日本産科婦人学会 日産婦誌52巻9号)。

 特に妊娠初期の流産は、受精卵の時点で染色体異常があって起きるケースがほとんどで、防ぎようがないものだ。従って、流産を経験した人の年齢分布や月齢を分析することなく、一概に「仕事を持つ女性の流産率が高い」と言ってしまうのは早計だろう。

 こうしたデータの扱い方は、働く女性が「私が仕事をやめなかったから流産してしまった」と自分を責めることにもつながりかねない。

がんになってもあきらめない妊活・卵巣凍結 費用は卵巣摘出に約60万円、保管は年間10万円
インタビュー「がんでも妊娠をあきらめない・卵巣凍結」後編・京野廣一医師

がん患者への抗がん剤による化学療法は妊孕性(妊娠のしやすさ)を低下させる。がんにより妊娠が難しくなる患者を支援するため、2016年4月に「医療法人社団レディースクリニック京野」が、治療前に卵巣を凍結して保存しておく「HOPE(日本卵巣組織凍結保存センター)」を設立すると発表した――。医療法人社団レディースクリニック京野理事長の京野廣一医師に卵巣凍結の仕組みについて訊いた。
前編『「がん」になっても妊娠・出産をあきらめたくない女性のための「卵巣凍結」とは?』

大阪市内のクリニック勤務。1987年 産業医科大…

吉田尚弘

市民のためのがん治療の会代表。舌がん治療による体…

會田昭一郎

2017年4月より、はるひ呼吸器病院(愛知県)病…

堤寛