冬に「食いだめ」しても効果は持続する
βクリプトキサンチンは、ニンジンに豊富なβカロテンよりはるかに強力な抗酸化作用があるとして、最近注目されている成分。メカニズムはまだ不明だが、βクリプトキサンチンの血中濃度が高いと、インスリン分泌のバランスがよくなり、糖尿病予防につながるらしい。
また、色素成分の大半がほぼ1日で体外に排出され抗酸化作用がなくなるのに対し、βクリプトキサンチンは何カ月も体に残って抗酸化作用を発揮する。
農研機構果樹研究所が行なった別の研究では、冬に採血した血液とほぼ同じ濃度のβクリプトキサンチンが、9月に同じ人から採取した血液からも検出されている。
冬にたくさん食べたみかんの成分が翌年の秋まで残っていたのだ。
一方、みかんは動脈硬化にもいいらしい。マウスによる実験段階だが、みかん果汁が動脈硬化の要因となる血管過剰増殖を抑えることが愛媛大医学部によって確認され、注目されている。
どの成分が作用しているのかはまだ明らかになっていないが、ヒトに換算すると1日200mlほど飲めば効果があるという。
毎日食べても血糖値は大丈夫!
ここで「みかんに含まれる果糖が血糖値を急激に上げるのでは?」と心配する向きもあるだろうが、それは誤解だ。血糖値上昇の指標であるグリセミックインデックス(GI)を見ると、ブドウ糖100、白米81に対して、みかんは33。果糖による血糖値の上昇度はかなり低い。
日本糖尿病学会が推奨する糖尿病食事療法でも、果物は血糖値を上げにくいと見直され、1日80kcal分摂るよう推奨されている。エネルギー量当たりのビタミンCやカリウム、食物繊維の含量が高く、制限された食事でも必要な栄養素が効率よく摂れる食品とされる。
糖尿病患者であっても中くらいのみかんなら1日2個は食べられる。食べ過ぎは禁物だが、適量なら問題はないようだ。
残念ながら旬は終わってしまったが、果汁であれば1年を通して入手できる。そしてまた季節が来たら、懐かしい「冬のみかん習慣」をもう一度見直してみてはどうだろうか。
(文=編集部)