どんなに運動をしても、座りすぎの生活が糖尿病のリスクを高める

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座りすぎは体によくないですよ~shutterstock.com

 座りすぎの生活は、肩こりや腰痛はもちろん、乳がんや心血管系の病気のリスクを高め、寿命にも影響しうることが、近年、いくつかの研究で示唆されている。当サイトでも、これまでに次のような記事を紹介してきた。
『2時間以上で5時間未満!? 健康によくないのはデスクワーク、それとも立ち仕事?』

 そしてこのほど、座りすぎの生活は、たとえ水泳やランニングなどの強度の高い運動をしていたとしても、2型糖尿病の発症リスクも高めることが、オランダの研究で示された。(オンライン版「Diabetologia」2月2日に掲載)。

 日本人の糖尿病の大部分が2型糖尿病である。遺伝的要因のほか、食べ過ぎ、脂肪の多い食生活や運動不足などによって発症すると言われており、予防のためにはこうした生活習慣の見直しが提唱されているが、今後は「座る時間を減らす」ことも考える必要がありそうだ。

座って過ごす時間が1時間増えるごとに発症リスクが22%上昇

 今回発表された研究では、オランダの成人男女約2,500人(平均年齢60歳)のデータを収集した。56%は正常血糖値で、15%は耐糖能異常、残りの29%が2型糖尿病であった。

 対象者に活動量計を24時間、8日間にわたって装着してもらい、座位で過ごした時間の長さや立ち上がった回数などを計測したところ、2型糖尿病患者の座位で過ごす時間は、血糖値が正常の人や耐糖能異常を示した人に比べて、1日あたり26分長かった。解析の結果、座位で過ごす時間が1時間増えるごとに2型糖尿病リスクが22%高まることが示された。しかし、立ち上がった回数や座っていなかった時間の長さと糖尿病との間に関連性は認められなかった。

 また、この研究では、座位時間と糖尿病リスクの関連性は、ランニングや水泳といった強度の高い運動の有無とは独立したものであることも示された。

「健康の維持に運動が重要であることは周知の事実だが、今回、『座り続けること自体が健康に悪い』ということが判明した。どれだけ運動しようとも、座っている時間が長いほど2型糖尿病のリスクは高まる」と、研究を主導したマーストリヒト大学のJulianne van der Berg氏は述べている。
 
 ただし、同氏は、座位時間と糖尿病の間に関連性が認められただけで、因果関係が証明されたわけではない点にも注意を促している。

座りすぎからの脱却が必要

 米モンテフィオーレ医療センター(ニューヨーク市)臨床糖尿病センター長のJoel Zonszein氏は、「テレビやコンピュータの前で座って過ごす時間だけでなく、そのときに手を伸ばしがちなスナック菓子などの影響も大きい」と指摘し、「今回の研究結果は、2型糖尿病の予防や管理には、運動とは別に、座位時間を減らすための策が必要であることを示すものである」と述べている。

 早稲田大学スポーツ科学学術院の岡浩一朗教授の研究チームによる調査によれば、日本人成人の一日平均の総座位時間は8~9時間程度であり、世界20ヵ国の成人を対象にした平日座位時間の国際比較研究結果では、日本人成人の座位時間が最長であったという。座る時間を減らす工夫の余地はたくさん残っている。
(文=編集部)


参考:読売オンライン
http://www.yomiuri.co.jp/adv/wol/opinion/sports_150316.html

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