インタビュー「足病変なら何でも診る。表参道に米国発『足病学』専門クリニックがオープン」第1回 足の診療所 桑原 靖院長

糖尿病による下肢切断は年間2万本 「足ならなんでも診る」専門クリニックが切断に歯止めをかける!

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糖尿病による足の切断は年間2万本shutterstock.com

 東京・表参道にある「足の診療所」は、足の痛みや変形に特化した、日本で初めての足専門クリニックである。米国のポダイアトリー(足病学)に基づき、形成外科、整形外科、皮膚科、血管外科などのドクターたちがチーム医療で診療にあたっている。

 世界では、30秒に1本の足が、糖尿病が原因で切断されているという。日本国内でも、糖尿病による下肢切断は、毎年2万本に及ぶといわれている。

 しかし糖尿病患者の全てが下肢切断に至るわけではない。下肢切断に至るには、糖尿病以前の原因があるという。

足のトラブルを早期に発見し切断を防ぐ

 院長の桑原靖氏はもともと形成外科医で、治りにくい傷(創傷)をいかに治すかを追究する「創傷治癒学」が専門である。大学卒業後は大学病院の形成外科に勤務し、糖尿病性足潰瘍の手術を数多く担当した。

 「糖尿病で下肢切断に至った患者さんの足を診ると、靴擦れや巻き爪、たこ、外反母趾といった足のトラブルを抱えています。糖尿病の患者さんは神経障害のため足の感覚がなく、きつい靴をはく傾向にあり、傷ができやすくなるのです。そうしてできた傷から細菌が感染すると、数日でその部分が壊死し、発見が遅い場合は切断せざるをえなくなってしまう場合が多くあります」

 つまり、もともと足のトラブルがあったところへ糖尿病の知覚症状や血流障害が「合併」し、傷が重症化して潰瘍や壊疽を引き起こし、切断に至るのだ。

 こうした小さな足のトラブルを早期に発見して治療すれば、下肢切断を減らすことができるのではないかと桑原氏は考えた。

足のプライマリケアが不足している

 しかし、今の日本では、足の病気のなかでも、糖尿病由来の細菌感染、壊疽、潰瘍といった重症例を診る医師はいるのに、その原因となる靴擦れや胼胝、外反母趾、巻き爪等の「小さな足のトラブル」を診る医師はほとんどいない。本来充実させるべき足の「プライマリケア」の部分が圧倒的に不足している。

 また、そもそも日本人は、足の健康に対する意識が薄い。足に不調を抱えていても、「これくらいなら病院に行くほどでもない」「痛いけど我慢できる」と、放置してしまいがちである。また、皮膚科に行ったらよいのか、それとも整形外科か、「どの科を受診したらよいのかわからない」という点も、病院に行きにくい大きな要因のひとつになっている。

桑原靖(くわはら・やすし)

足の診療所院長。1978年、静岡県生まれ。2004年、埼玉医科大学医学部を卒業。2006年、同大医学部形成外科入局。創傷治癒学、難治性創傷治療を専攻。外来医長、フットケア担当医師を経て、2013年、「足の診療所」を開設。埼玉医科大学形成外科非常勤医師、日本下肢救済・足病学会評議員。

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