シリーズ「子どもの心と体の不思議のサイエンス!」第20回

赤ちゃんはどうやって言葉を覚えるのか? 言語能力は1〜2歳頃に飛躍的に伸びる

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2歳になると、時間の感覚、「ボク/ワタシ」の使い分けもマスターする

 1歳頃から言葉の爆発を経験した子どもは、2歳頃になると、単語数が増えるとともに自分で文章を組み立てる文法をマスターするので、自分の言葉の成長を実感できるようになる。過去・現在・未来の時間の流れ、ボク、ワタシの一人称や複数・単数の数え方などを身につけるのだ。

 たとえば、「昨日、おじいちゃんちへ行った」「今日、おばあちゃんと遊ぶ」「明日、キリンさんの動物園に行く」など、過去・現在・未来の時制の使い分けができる。「ボクたち」「ワタシたち」の複数型、「〜だぜ」「〜だわ」などの性差を意識した語尾表現もお手の物。とくに、言葉の性差は、女きょうだいで育った男の子、男きょうだいで育った女の子では、育つ環境によって影響を受けやすいといわれる。

 言葉の成長は、時間、自分と他人、内と外があることを自然に教えてくれる。文法を学ぶのに先生は要らないのだ。

心の成長と言葉の発達は、まさに2人3脚

 ただ、相手と自分の行動が異なる対立表現は、ミスしやすい。たとえば、「行く←→来る」「あげる←→もらう」「売る←→買う」「渡す←→受け取る」など、視点の違いで言葉を使い分けるためには、相手の立場と自分の立場を分離して考えなければならない。

 ところが、2歳の頃は、相手の気持ちを深く推し量ったり、言葉のロジックをはっきりと推測する能力が十分に育っていないので、相手と自分の行動の異なる対立表現を身につけるのは、個人差がある。覚えるのに時間がかかる子どももいるが、その距離感やロジックを知らないうちに身につけてしまうので、まったく心配は要らない。

 この頃の子どもを見ていると、こんなことがよくあるからだ――。女の子が男の子に「うちに遊びにおいでよ」と誘ってる。女の子は手を胸に引きつけたり、自分の方に手招きしたりしている。男の子は「うん、行くよ」と手を挙げたり、腕を広げたり、体から離したりする動作を見せる。

 このように、子どもが「行く←→来る」のような「やりもらい動詞」を使う時は、身振りや手振りを交えて意思を伝え合っている。

 こんな芸当ができるのは、相手の立場と自分の立場を振り分けて考え、自分の動作を確認できるように成長した何よりの証明だ。子どもの心の成長と言葉の発達は、まさに2人3脚だ!
(文=編集部)

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