ひとたび話し始めると止まらなくなる!/shutterstock
赤ちゃんが1歳になる――。それは脳内に芽生えた言葉のエナジーが、活力をみなぎらせて一気に爆発する時期だ。
赤ちゃんが言葉を学ぶ能力の高さやスピードは驚異的だ。お父さんやお母さんの話し言葉に耳をじっとそばだてる。その音のつながりや言い回しを掴みながら、一つ一つの単語を切り離して考える。自分を取り囲む環境にアンテナを張り巡らしつつ、見るモノ聞くモノを栄養源にして、わずかなヒントからでも言葉の意味を理解して真似ようとする。それが1歳になった頃の赤ちゃんの脳内で繰り広げられている。
たとえば、音に対する敏感な感覚もそうだ。耳慣れない不協和音よりも、モーツァルトのピアノ曲、フルートやハープの音色、童謡など、聴き心地がいい協和音を好む。この繊細な感受性が言葉を真似る(学ぶ)基礎体力を培うことにつながっていく。
つまり、歌詞や話し言葉の中から、音のつながり、言葉のまとまり、休止、息つぎなどをヒントにして単語を拾い出す。お母さんが「コレはクマさんよ」とモノを指し示すと、言葉とモノの関係を知る。お母さんの動作や表情から、言葉のニュアンス、使い方やルールを学んでいく。もし、お母さんが「ボールを投げるよ」と言えば、最初はボールそのものを「ボールを投げる」と覚えて呼ぶこともある。
このように言葉を「単語単位に分ける能力」が備われば、言葉のリズムやテンポが自然に身につくようになるのだ。
ひとたび話し始めると止まらなくなる
赤ちゃんが言葉を覚える仕組みは複雑で十分に解明されていない。だが、個人差はあるが、ひとたび話し始めると、言葉を使ってコミュニケーションする能力が培われ、言葉を「単語単位に分ける能力」が語彙を増やすので、言葉の学習スピードがたちどころに加速する。言葉の知識、発声機能、「話したい」という欲求がひとつになった時、言葉の爆発が起きる。
1歳6カ月頃には、10個くらいの単語を覚える。「ママのめめはココ」「ママのお口はココ」などと話しかければ、言葉の理解がさらに進み、話すきっかけを広げるだろう。2歳頃には、2語以上の単語を使って「ワンワン、ネンネ」とか「パパ、バイバイ」とかを話すようになる。男の子と女の子の言葉の違いも見られるのもこの頃だ。3歳頃には、過去と現在、単数と複数の使い分けができるようになり、3語以上の単語を使えるようになる。6歳頃には、言葉の数が1万語を越えるという研究もある。機会があれば、詳しく紹介しよう。