気になる羽生選手の復帰時期は?(Iurii Osadchi / Shutterstock.com)
世界フィギュアスケート選手権2016を2年連続の2位で終えた羽生結弦選手(ANA)。日本スケート連盟は帰国日程の会見上、彼が「左足の甲靭帯損傷」を受傷していた事実を公表。帰国はせずに、練習拠点のカナダ・トロントで治療を受けるという報告を行なった。
じつは羽生選手、昨年末の全日本選手権当時から左足の痛みを訴えており、1月のアイスショーも痛み止めを打って出演していた事実も明らかにされた。
これについて、豪・Curtin大学で最新の専門療法を学んだ理学療法士、三木貴弘氏はこうコメントする。
「足の甲には『リスフラン関節』と呼ばれる関節と、それを安定させる靭帯があります。つまり、今回の(左)足の甲の靭帯損傷は、リスフラン関節損傷と診断されたのではないでしょうか」
フィギュアスケート競技にはつきものの靭帯損傷
足は平らではなくアーチ状を描き、その撓みの構造がクッションの役割を果たして衝撃を吸収する役割を果たしている。
だが、フィギュアスケート/サッカー/バスケットボールなど、頻繁にジャンプをしたり、足に直接衝撃を受ける競技の選手は、リスフラン関節損傷を好発するという。
「受傷機転が多いのは、爪先立ちになって上から体重がかかる時ですね。つまりフィギュアスケートの選手に起こりやすいケガなのですが、一般人でも高い所から飛び降りた際などに生じる例は少なくありません」(三木氏)
靭帯部分が損傷されると体重をかける度に痛みに見舞われ、力が出せなくなる。そのまま放置しておくと、前述のアーチ構造が崩れてしまって衝撃を吸収できない足に変形してしまう。あるいは本来の、力を上手く伝達する構造が変化してしまう危険性もあるという。
「治療法としては、手術の必要のない保存療法の場合、まずは足底板などでアーチを保持しながらギブス固定をします。その固定が取れてから徐々に、歩行練習/走る練習/ジャンプ練習と、負荷がかかるトレーニングに移行していくことが多いですね」