お酒を飲むとすぐに顔が赤くなる人は「喉や食道のがん」に注意

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酒豪と下戸の分れ道は遥か太古の昔まで遡る

 それは遥か遠い昔の話――。人類が「黒人」「白人」「黄色人」の3大人種に分岐後、なぜかモンゴロイド(=蒙古系人種/黄色人種:Mongoloid)の中から突然変異的にALDH2の活性を消失してしまった人々が出現した。

 さらに時代が進むに連れ、モンゴロイド系の人種には「お酒に弱い」という傾向が広がっていったとされている。

 この活性が低い(ALDH2低活性型)、ないしは欠けている(ALDH2不活性型)という傾向は、今日、モンゴロイドの特徴だ。コーカソイド(白色人種:Caucasoidやニグロイド(黒色人種:Negroid)には低活性型の存在が見られない。

 一方、第四の人種とされるオーストラロイド(オーストラリア人種:Australoid)に属する「アボリジニ」の場合、モンゴロイド以上にアルコールに対する耐性がより低い。アボリジニ居住区を訪れる際、酒類の持ち込みおよび飲酒の勧めが豪州の法律で規制されている背景にはそんな事情がある。

 飲酒で顔が赤らむフラッシング反応はアセトアルデヒドの作用によるものだ。アセトアルデヒドは毒性が強く「悪酔い」「二日酔い」の原因ともなる。ALDH2低活性型の人は毒性が体内で分解されにくく、長く留まることからこの毒性の影響を受けやすいのだ。

がんリスクを軽減できる目安

 では、それでも嗜み程度にはお酒を楽しみたいという低活性型の愛飲家は、どれくらいを目安にすれば、がんリスクを軽減できるのか?

 松尾部長らの研究報告によれば、飲酒がやや多め(アルコール量23〜46g/週5日以上)の場合、80歳までのがん確率は約5%。もう少し我慢して少量、いや中量でも週5日未満の嗜みであれば約2.5%まで激減する。

 最後に、顔が赤くならない人が大量飲酒を続けた場合のがん確率を示しておこう。同じ条件下で大量ならば約3%、やや多めの飲酒で約2%と判明している。

 どのような場合であれ、酒の強要はNG、なかでもフラッシング反応で赤ら顔の人に対しての強要は厳禁だということを覚えておこう。
(文=編集部)

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