シリーズ「恐ろしい飲酒習慣」第1回

百薬の長か? 万病の元か? 健康で長生きできる酒の量はどのくらい?

この記事のキーワード : 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
9535927-2.jpg

忘年会シーズンで酒量も増え気味!?(shutterstock.com)

 ワインやビールなどの酒のルーツは、紀元前4000~5000年ごろに遡る。錬金術師たちの蒸留技術が酒に生命力を授け、古今東西、アクア・ビテ(生命の水)と珍重されてきた。

 酒に十徳あり、酒は天の美禄。上戸に好都合な方便がまかり通れば、呑みすけの喉を潤すのも酒。酔っぱらいの胃袋を満たせば、酒豪の傍若無人を許すのも酒。酒は消化を促し、代謝を高める! 酒は心の特効薬になる! 善玉コレステロールを増やすから血が固まりにくい! 赤ワインのポリフェノールは動脈硬化や心筋梗塞のストッパーになる! 酒は喜びを倍にする! 悲しみを半分にする!……

 ナルホド! 酒を援護射撃する飲んべえは尽きない。酒場に押し掛ける酔いどれの隊列は乱れたためしがない。だが、待て!「女と酒は二ごうまで」、「酒はほろ酔い、花は半開きひとつぼみがよい」とも言うではないか。酒は百薬の長なのか? 酒の適量はあるのか?

酒飲みの死亡リスクは1.5〜1.8倍も高い

 酒の「Jカーブ効果」というグラフがある。タテ軸に死亡率、ヨコ軸に1日の飲酒量をとると、J 型のカーブを描く。つまり、適量の酒を飲む人は、まったく飲まない人と比べると、死亡率が低くなる傾向がある。適量とは、どれくらいの量なのか?

 1990年と1993年に厚労省が行った死亡率調査(2007年多目的コホート研究)を見てみよう。この調査は、茨城、新潟、高知、長崎、沖縄の5県に住む40~69歳の男性約4万2000人を対象に、1週間当りの飲酒量、飲酒習慣、疾患の発症率などを9年間追跡したもの。対象者のうち、飲酒習慣のある人は約3万2000(76%)人。週に3日以上の休肝日を取る人は40%、週に5〜7日飲む人は60%である。

 週1〜2日しか飲まない人との死亡リスク(日本酒換算)を比べると、週5日〜毎日(13〜19.5合)飲む人の死亡リスクは1.5倍、それ以上飲む人は1.8倍も高い。しかも、飲酒量が極端に多い人は、休肝日を取っても、死亡リスクが高まる。

 飲酒量と死亡率を見ると、死亡率が最も低いのは、時々飲む、または1週間のアルコール量が50g以下の人。アルコール量50gは、ビール中瓶(500㎖)で約2.5本だ。疾患の発症リスクを見ると、1日当たりのアルコール量が20g(ビール中瓶で約1本)を越えると、がんの死亡リスクが上昇する。

 また、9年間に心筋梗塞に罹った人は170人。酒を飲まない人の心筋梗塞の発症リスクを1とすると、1日当たりの飲酒量が1合未満の人や、1〜2合の人の発症リスクは、顔が赤くなるかどうかに関係なく0.5と低い。つまり、適度な飲酒を続ければ、心筋梗塞の発症リスクが減る。

1日当たり、清酒なら1合、ビールなら大瓶1本が日本人の適量?

がんになってもあきらめない妊活・卵巣凍結 費用は卵巣摘出に約60万円、保管は年間10万円
インタビュー「がんでも妊娠をあきらめない・卵巣凍結」後編・京野廣一医師

がん患者への抗がん剤による化学療法は妊孕性(妊娠のしやすさ)を低下させる。がんにより妊娠が難しくなる患者を支援するため、2016年4月に「医療法人社団レディースクリニック京野」が、治療前に卵巣を凍結して保存しておく「HOPE(日本卵巣組織凍結保存センター)」を設立すると発表した――。医療法人社団レディースクリニック京野理事長の京野廣一医師に卵巣凍結の仕組みについて訊いた。
前編『「がん」になっても妊娠・出産をあきらめたくない女性のための「卵巣凍結」とは?』

小笠原クリニック札幌病院腎臓内科。日本中毒学会認…

横山隆

近畿大学理工学部生命科学科ゲノム情報神経学准教授…

西郷和真

理学療法士。日本で数年勤務した後、豪・Curti…

三木貴弘