シリーズ「最新の科学捜査で真犯人を追え!」第13回

なぜ指紋が「動かぬ証拠」になるのか? 死体に付いた犯人の指紋さえも検出する驚異の鑑定力

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指紋鑑定の進歩は目覚しい(shutterstock.com)

 深夜、都内某所で殺人事件が発生! 110番通報で警察官が現場に急行、現場を保全。封鎖テープが張られ、現場一帯は立入禁止になる。指令センターの連絡で鑑識官、検視官が駆けつける。殺害状況、証拠品、遺留品の現場検証が慌ただしく始まる……。人気TVドラマ『科捜研の女』の榊マリコが活躍する定番シーンだが、事件現場で目にする最もポピュラーな鑑定といえば、指紋鑑定だろう。

指紋は一生変わらず常に再生されている

 被疑者が犯罪現場に残した遺留指紋の80%は、目に見える指紋(顕在指紋)ではなく、肉眼では見えない指紋(潜在指紋)。しかも一部しか残っていない片鱗指紋がほとんどだ。したがって、指紋の採取は、蛍光写真やビデオなどで撮影を行い、指紋の記録を科学的に保存・管理しながら慎重に鑑識作業が進められる。

 指紋を見れば個人を識別できるのはなぜか? 齋藤鑑識証明研究所によれば、指紋を特徴づける4つの大原則があるからだ。

 第1は、万人不同の原則。世界にあなたと同じ指紋を持つ人は存在しないし、遺伝もしない。左右10本の指紋もすべて異なる。遺伝子が同じ一卵性双生児でも指紋は異なる。不同性は、生物界に通低する普遍的な原理だ。

 第2は、終生不変の原則。もって生まれた指紋は一生変わらない。指紋は、生後5ヵ月頃に形づくられ、成長とともに大きくなるが、指紋の相似性は一定だ。

 第3は、均一走行の原則。指紋線と指紋線は等間隔だ。間隔が極端に広がったり、異常に太い指紋線はない。

 第4は、原型再生の原則。皮膚の表面の表皮が剥げ落ちたり磨耗しても、皮膚の内側の真皮が再生して同一の指紋が復元される。

 このような普遍的な特質をもつ指紋は、識別精度が高い絶対的な鑑定法として世界各国の科学捜査に大いに活用されている。ちなみに、掌紋(手のひらの紋様)や足紋(足の裏の紋様)も同様の特質があり、指紋、掌紋、足紋を総称して皮膚紋理(ひふもんり)と呼ぶ。

 指紋は、渦状紋、蹄状紋、弓状紋、変体紋の4パターンがある。日本人は、中心が渦巻いている渦状紋が50%、馬のひずめに似ている蹄状紋が40%、弓の形に似ている弓状紋が10%の割合だ。どれにも属さない変体紋は極めて稀。1人で2種類の指紋を持つ人もある。あなたは、どのパターンだろう?

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