シリーズ「最新の科学捜査で真犯人を追え!」第13回

なぜ指紋が「動かぬ証拠」になるのか? 死体に付いた犯人の指紋さえも検出する驚異の鑑定力

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完全に指紋を消去したり、隠滅したりできないのはなぜ?

 さて、指紋が犯行現場に残されるのはなぜか?

 タネ明かしを先にすると、指紋は、汗、脂肪分、ダストの混合物だからだ。

 毛穴から分泌される汗は、水分98%のほか、無機物(塩化ナトリウム・カリウム・カルシウムなど)、有機物(乳酸・アミノ酸・尿酸など)、微量の遊離脂肪酸、ビタミン類などを含む2%の成分からできている。汗は隆線(指や掌に浮き出ている線状の部分)の上部にある汗腺口から出るので、シャチハタの印鑑と同じように触れた物に汗がプリントされる。

 また、人の手指は、意識的にも無意識的にも、顔、首、腕、足などの毛の生えている皮膚にある脂肪分を触る運動を繰り返すために、脂肪分は指先や掌に運ばれる。つまり、人の手指の自然な動物学的な行動によって、脂肪分が指先や掌に付着するので、触れた物に脂肪分がプリントされる。

 さらに、人は静電気を帯びた帯電状態にあることから、空気中のダストが指先や掌に常に吸い寄せられるため、触れた物にダストがプリントされる。

 手袋をはめたり、アルコールで拭いたりして、犯人が指紋を消そうとしても、触れたものに、汗、脂肪分、ダストが必然的に残留するので、完全に指紋を消去したり、隠滅したりできない。指紋があるかぎり、犯人は逃げ切れない。

 法科学鑑定研究所によれば、指紋鑑定には3種類の方法がある。汗が出る汗腺口の配置を比較して、間隔が一致するのかどうかを調べる汗腺口鑑定、指紋線の太さや細さが一致するかどうかを調べる隆線縁鑑定、指紋線の分岐点、合流点、終点、始点など50〜150カ所の特徴点を調べる特徴点鑑定だ。これらの鑑定に使われる指紋検出法には、紙類から検出する液体法、プラスチック製品から検出する気体法、ガラス製品から検出する粉末法、ビニール製品から検出するレーザー法があり、さまざまなツールや試薬を組み合わせて行なわれる。

 最も馴染み深いのは粉末法だろう。粉末法は、ウサギやラクダの毛のハケやブラシを使って、極微細の粉末(アルミニウムパウダーやカーボン)を指紋が付いているガラスに振り掛け、余分な粉末を払った後、ゼラチン転写法や蛍光写真撮影法によって遺留指紋をくっきりと浮かび上がらせる検出法だ。

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