シリーズ「患者の視線でがん治療を考える」第2回

がん検診で被ばく? 検診でのX線間接撮影はCTや超音波などに切り替えるべき

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このままでは「一億総奇病・難病社会・一億総がん罹患社会」に

 2人に1人が、がん罹患すると言われる時代である。今後の日本では、福島原発事故による放射性物質の飛散による「長寿命放射性元素体内取込み症候群」とも言える発がんや慢性疾患が確実に増加する。

 また日本は単位面積当たりで比較すると世界一農薬が使用されており、残留基準値も緩い。さらに、TPPにより遺伝子組換え食品の表示もできなくなり、健康被害が危惧される。最も使われているネオニコチノイド系農薬が自閉症の主な原因であることも判明した。

 農薬・化学物質・遺伝子組換え食品の摂取や放射線被ばくにより、相乗的に健康被害の増加が予測される時代となり、日本人の生活のあり様を考えると同時に、がん検診を保険診療にすることにより低額な医療費で済む早期がんを発見し治療する必要がある。

 政府は「一億総活躍社会」と叫んでいるが、このままでは「一億総奇病・難病・総がん罹患社会」となりかねない。

 医療はTPPの最大のターゲットとされており、今後は抗がん剤も高騰するが、抗がん剤を使用しないで済む治療が望まれる。そのためにはハイリスク群の検討を行い効率性も考え、低線量被ばくも考慮した検診を更に普及させるべきである。

 検診を保険診療とすることにより、最終的には医療費も削減できるのである。最後に今後の放射線被ばくを極力低減したがん検診(一次検診)のあり方についての私見を示し、校を終わる。


●放射線被ばくを極力低減した、がん検診(一次検診)のあり方

◯胃がん
 ▶︎ピロリ菌検査
 ▶︎Ba検査より内視鏡(3~4年毎)

◯大腸がん
 ▶︎便潜血
 ▶︎内視鏡(+カプセル内視鏡)

◯肺がん
 ▶︎痰細胞診
 ▶︎CT(3~4年毎)

◯乳がん
 ▶︎視触診
 ▶︎超音波検査

◯子宮がん
 ▶︎細胞診
 ▶︎予防ワクチンは任意接種

◯肝・胆・膵臓がん
 ▶︎超音波検査
 ▶︎HCV&HBVのキャリアを対象

◯全身検査
 ▶︎PET
 ▶︎腫瘍マーカー


西尾正道(にしお・まさみち)
北海道がんセンター名誉院長、北海道医薬専門学校学校長、厚生労働省北海道厚生局臨床研修審査専門官。
函館市生まれ。1974年札幌医科大学卒業。卒後、国立札幌病院・北海道地方がんセンター(現 独立行政法人国立病院機構 北海道がんセンター)で39年間がんの放射線治療に従事。2013年4月より北海道がんセンター名誉院長、北海道医薬専門学校学校長、北海道厚生局臨床研修審査専門員。著書に『がん医療と放射線治療』(エムイー振興協会)、『がんの放射線治療』(日本評論社)、『放射線治療医の本音‐がん患者2 万人と向き合って-』(NHK 出版)、『今、本当に受けたいがん治療』(エムイー振興協会)、『放射線健康障害の真実』(旬報社)、『正直ながんのはなし』(旬報社)、『被ばく列島』(小出裕章との共著、角川学芸出版)、『がんは放射線でここまで治る』(市民のためのがん治療の会)、その他、医学領域の専門学術著書・論文多数。

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