天候の急変で「歯周病」が悪化する!?(shutterstock.com)
四季の移り変わりに伴う病気や症状の総称は「季節病」。一方、日々の天候変化で起こる症状の総称は「気象病」。しかし、微妙な変わり目に著しい気象の変化が入り混じり、花粉も飛び散る昨今は、体中が悲鳴をあげて、原因も痛む部位/範囲も曖昧模糊としてきて困る。
頭痛/関節痛/神経痛、めまい/耳鳴り/首の痛みや肩の凝り、気象病の症状は十人十色だが「古傷が痛む」とは言いえて妙。乱高下よろしく日替わり的に気温・湿度・気圧がくるくる変わる近頃は気のせいか、歯茎もなんだか疼いているような……。
「歯茎の疼き」と聞いて「ある、ある」と膝を叩いた方は、もしかしたら歯周病かも? しかもその痛み、昨今の急な気温上昇や気圧低下と密接な因果関係によるものかもしれない。
天候急変の3日以内に「腫れ」のち「痛み」が!?
昨夏、国際医学誌『ERPH』(International journal of environmental research and public health)に興味深い研究報告が掲載された(電子版2015年8月5日号)。岡山大学大学院の森田学教授と竹内倫子助教授らのチームによるもので、要約すれば「天候が歯周病の症状急変に関与している」という論考だ。
彼ら研究班は、岡山大学病院予防歯科を受診(2011〜2013年)した「慢性歯周炎患者」延べ2万34人を対象に症状の変化を分析。うち口腔内の状態に関係なく急性症状に見舞われ、その原因が曖昧な患者153人(平均年齢68.7歳)のデータに着目して研究を進めた。
解析に用いられたのは地元・岡山地方気象台のデータで、発症時の患者たちの状態と当時の気象条件を比較検証しながら関連性を探った。
その結果、①1時間ごとに気圧が急激に下がった日/②1時間ごとに気温が急上昇した日、いずれかの天候変化が認められた日の1〜3日以内に「歯茎の痛みや腫れが急激に発症する患者例が多い」との傾向が判明した。