【病気の知識】

歯周病

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どんな病気

 以前のテレビで「りんごをかじると歯ぐきから血がでませんか?」という歯磨き粉のCMがありました。これはまさに歯周病の症状を警告しています。このCMが放送されていた頃は歯槽膿漏と呼ばれていましたが、現在では歯周病という名前で呼ばれるようになっています。

 2000年に厚労省の発表した「健康日本21(21世紀における国民健康づくり運動)」の中で、歯周病は生活習慣病の一つに挙げられました。歯科の治療法の中でも、この15年で歯周病の治療方法ほど大きく変化したものはありません。

 次の中に心当たりのある項目があれば、あなたも歯周病かもしれません。

①ブラッシングの時に血が混ざる
②口の中がネバネバする(特に起床時)
③口臭が気になる、あるいは指摘された
④歯肉が赤く腫れて見える
⑤歯肉がムズムズする
⑥歯が動く
⑦歯が長く見えるようになってきた
⑧歯と歯の隙間が広くなってきた

 このような症状があれば、まずは歯科医院で検査を受ける必要があります。しかし、歯周病の本当の怖さは、このような症状があっても激痛を伴ったりはせずに、極めてゆっくりと病気が進んでいくことかもしれません。

歯周病の原因とは

 かつて歯槽膿漏と呼ばれていた頃には、歯周病は単に細菌感染によって引き起こされる病態の一つではないかと考えられていました。しかし歯周病は、単に細菌感染だけでなく、口の中にあるさまざまな問題が、病状や治療を難しくしていることがわかりました。すなわち、歯軋り・くいしばり・かみしめる癖、歯に合っていない不適合な冠や義歯、喫煙、ストレス、長期に服用している薬等により、病気の進行の程度も変わってきます。

 さらに近年では、歯周病は単に口の中の歯茎や骨を侵すだけでなく、糖尿病、心臓疾患、誤嚥性肺炎、低体重児早産等にさまざまな影響を及ぼすことも判明してきました。つまり、口の中の病気が原因で、全身疾患に悪影響を及ぼすことがあるのです。

どんな病気

 歯周病は、歯と歯茎の境目のところにある溝、いわいるポケットの付近に細菌が入り込み、細菌の出す毒素により歯肉や歯を支える周囲の組織に炎症が引き起こされてはじまる病気です。

 初期の段階は「歯肉炎」と呼ばれ、炎症がまだ歯肉に留まっている状態です。この状態では歯肉全体が赤く腫れたり、出血を起しやすくなります。痛みを伴うほどではないことが多く、治療も適切なブラッシングを続けることで改善されます。「歯周炎」は歯肉炎よりさらに進行した状態です。炎症は歯茎だけでなく歯を支える歯肉の周囲の軟組織や骨にまで広がり、顎の骨までも破壊されてしまいます。

 初期の歯周炎では歯と歯茎の隙間が広がり、歯周ポケットができます。そのポケットの中にまで歯垢(プラーク)が入り込みます。磨き残した部分は歯石に変わっていきます。この段階では適切な治療により良好な治癒が期待できます。

 中期になるとポケットも深くなり、歯肉だけでなく、歯を支える歯槽骨(骨)まで侵され、骨が破壊されてしまいます。その結果、歯がぐらつきはじめます。

 末期になると治療が大変に難しくなり、場合によっては抜歯になることも珍しくありません。30歳以上の成人では約80%が歯周病にかかっていて、歯を失う原因の第1位になっています。

どんな検査

 検査としては、ポケットの深さや歯肉の出血状況や、歯の動揺の有無及び程度の測定は必ず行います。さらに、歯茎の性状や退縮の程度、噛み合わせの具合、を検査するのが一般的ですが、近年ではポケットの中の細菌の種類・数量を調べる細菌検査を行うこともあります。

 ポケットの検査と同様に重要なのはX線検査です。歯周病は最後には骨が侵されていく病気なので、X線で歯の周囲の骨に病気が進行していないかを調べることは、その後の治療計画を立てる上で極めて重要になります。これらのポケットの検査やX線検査は治療の成果を確認するために、何度か行うことになります。

 また服用中の薬の有無や、全身の健康状態等の問診も必要です。もちろん歯の磨き方のチェックが重要なことは言うまでもありません。

 こうした検査を行い、その患者さんの病状に応じた治療計画が立てられ、それに沿って処置を行います。

どんな治療

 まず基本治療として、スケーリングと呼ばれる歯及び歯根の表面についている歯石の除去を行います。大抵の場合は、スケーリングと同時にルートプレーニングという粗ぞうになった歯根の表面を滑沢にして、毒素や微生物で汚染された部分を取り除く治療をします。歯周炎の初期の段階では、このスケーリングとルートプレーニングで病状が改善します。

 歯周組織の炎症が消退して、ポケットの深さが2~3mm程度に維持できる場合は、メンテナンスに移行します。初期から中等度までの歯周病では、このスケーリングとルートプレーニングで症状が改善され、メンテナンスに移行することもしばしばあります。

 歯周病も中等度の段階までは、基本治療でかなり良い予後が期待できますが、中等度を超えてしまうと治療も難しくなります。ポケットの深さの改善が見られない場合は、外科的な治療が必要になってきます。

 治療としては、歯周病原因菌で侵された歯肉を外科的に切除してポケットを除去するだけでなく、近年では特殊な膜状(GTR)の材料や薬(エムドゲイン)を応用して、破壊されて失われた骨を再生させることも可能になっています。この外科的な手術は、歯周病の程度や範囲によって異なります。しかし、必ずしも全ての歯周病でこうした処置が必要とも限らず、多くの場合は基本治療で改善されます。このような歯周病の外科的な処置は、歯周病を熟知した歯科医師の下で行われるべきです。

 こうした基本治療や外科治療を行いポケットが改善され、症状が安定してくれば、メンテナンスに移行します。歯周病治療で難しいのは、治療によって改善された歯肉を良好な状態で保つことです。正確なブラッシング(歯磨き)ができなければ症状はすぐに悪化します。

 しかし、十分に気をつけて歯磨きをしていても、4ヶ月程度でポケットの内部には再び歯周病を起こす病原菌が増殖をはじめることから、家庭で行える管理には限界があります。そのためには、PMTC(Professional Mechanical Tooth Cleaning)と呼ばれるポケット内面の清掃を必要とします。

 歯周病の治療は、個人の病状、生活環境等により、その治療方法もさまざまです。虫歯の治療は歯科医師が十分に注意を払って治療にあたれば再発はかなり抑制されますが、歯周病の場合は患者さんの協力がなければ十分に成果が出ません。歯周病の治療は難しい問題を抱えていますが、前述のように、近年この歯周病が全身に及ぼす影響、すなわち、糖尿病、心疾患、妊婦への影響等について明らかにされつつあり、歯周病を治療しないことで時に生命を脅かす全身疾患に繋がることもあり、その治療は大切です。

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Doctors marche

精神保健福祉士。フリージャーナリスト。1977年…

里中高志

医療法人社団 三喜会 理事長、鶴巻温泉病院院長。…

鈴木龍太

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