このように、腰痛を考えるには、「腰の骨が狭くなっている」「筋肉が弱くなっている」といった解剖学的、運動学的な視点だけではなく、心理面・社会面などの一見すると医療機関とは関係ないような視点を持つことが重要である。そのことを患者も医療者も再確認する必要がある。これは欧米では一般化している考え方だ。日本でも腰痛をもっと複合的なものと捉え、さまざまな視点から多角的に考えるべきだ。考え方自体を変えないと、これから先も腰痛はなくならないかもしれない。
よって、医療者側は心理面・社会面の因子が腰痛に関連しているということを頭に入れて、検査、治療、マネージメントを行っていく必要がある。患者は、医療機関で治療を受けるだけでなく、自分の周りの環境を見直すことから腰痛を改善できるかもしれない。それは医療機関を受診するのを同じくらい重要なことである。