若くても腸内環境が悪くなる原因として、現代日本人の食生活や運動不足、ストレスなどの要因が考えられる。中でも問題なのが、食生活の変化だ。
腸内環境は、食べたものに大きく左右される。以前にも述べたが、腸の状態をよくするためには、善玉菌の好む野菜や穀類、豆、海藻などに多く含まれる食物繊維を豊富にとることが必要となる。
しかし、1955年ころまでの日本の食生活は、食物繊維が豊富な生活をしていたものの、最近では食物繊維の摂取は年々減る傾向にある。厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2010年版)では、食物繊維の1日あたりの目標量を成人男性は19g、成人女性は17gに設定しているが、実際は15g程度しか摂取できていない。
一方、高脂肪食は悪玉菌を増やし、善玉菌が減るという研究報告がある。脂肪をとりすぎると、肝臓で作られる胆汁酸が多く分泌され、腸内細菌によって変換された二次胆汁酸によって大腸がんが発生したり、腸内の善玉菌を殺すなどして、腸内環境の悪化が進む。食物繊維たっぷりで、低脂肪食。欧米風の食生活が浸透しつつある日本。かつての和食のような食生活が腸内環境を整えるためには理想的といえる。
もちろん、カロリーのとりすぎにも注意したい。人間は20歳を過ぎると年齢とともに基礎代謝量は減少していく。年を経ていつまでたっても同じような食生活をしていると、カロリーのとりすぎとなる。そのうえ、善玉菌は減り、悪玉菌が増えてくるのだからカロリーをとりすぎると、消化・吸収できない分が大腸に届いて、悪玉菌のエサをふやしているようなもの。年齢とともに、食事の内容や摂取量を変化させていかねばならない。
一方、過激なダイエットも腸内環境を悪くする一因となる。食べる量が減るために、食物繊維の摂取量も減り、便がつくれず、便秘となる。そのうえ、腸内細菌そのものが減ってしまい、乳酸菌などの善玉菌も減ってしまう。
ダイエットをするときは、極端に食事量を減らすことは避け、食事には食物繊維やヨーグルトなど乳酸菌をたっぷり含むものをとりいれて、腸内環境を整えるようにしていきたい。