マサチューセッツ工科大に属する、この研究の上席著者たちは語る。
「さらに研究を重ねることにより、この技術が治療の向上や消化管に適用できる研究技術の拡大を可能にし、臨床面でも研究面でも極めて貴重なものとなる可能性があります。また(この研究は)生物学的製剤を含めた薬剤の消化管を通した能動的投与について初めて示すものでもあります」(Daniel Blankschtein教授)
「薬剤の投与方法を変えるのではなく、薬剤が組織に吸収されるのを促し、薬物送達に要する時間を変えようという試みだ」(コッホ統合がん研究所のGiovanni Traverso氏)
現行のIBD治療薬は、浣腸剤として投与し、吸収されるまで1時間は結腸内に留まらせる必要があるが、その方法では下痢や失禁のある患者には難しい場合もある。しかし、超音波を用いることにより、薬剤の吸収を早める効果が期待できるという。
現在、人を対象とした試験に向けて動物研究がさらに進められている。研究が進み、この技術が実用化されれば、救われる患者も出てくるだろう。今後に期待したい。
(文=編集部)