"難病元年" 本当に困っている人は救えるようになるのか?

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症状には波があり入退院を繰り返す難病もある Artush/ PIXTA(ピクスタ)

 2015年1月1日より、「難病の患者に対する医療費等に関する法律」(難病法)が施行された。これまで対象とされていた難病56疾病を一挙に約300疾病(現時点で想定される疾病数)に拡大。これにより、医療費の助成を受ける人は約78万人(平成23年度)から約150万人へと増える見込みだ。

 そもそも難病とは、「①原因不明、治療方針未確定であり、後遺症を残す恐れのある疾病、②経過が慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担が大きい疾病」(難病情報センター)と定義される。

 昨年、アイスバケツチャレンジで一気に知名度を上げたALS(筋萎縮性側索硬化症)や、安倍総理が長年悩まされている潰瘍性大腸炎、落語家・林家こん平さんがかかっている多発性硬化症など、いくつかの病名を耳にしたことがあるのではないだろうか。

 遺伝的な要素があると推測される難病もあるが、多くは、ある日突然原因不明の症状が現われる。その病名を突き止めるまでに何十軒と病院を渡り歩き、ようやくわかっても治療法が確立されていないという厳しい状況が待っている。これら難病は、誰でも発症する可能性がある。人ごとではないのだ。

病気だけでなく、経済的に逼迫

 

 これまで難病だと認められなかった原因不明の病気にかかった人のなかには、病名が分かるまでに症状が進んでしまった、退職を余儀なくされた、医療費の助成が受けられない、働けないので生活保護を受けている......など、壮絶な生活を強いられてきた人も少なくない。

 40年ぶりに行った難病対策により、金銭的な面がある程度解消される。一刻も早く適切な診断を受け、完治は無理としても重症化しない手だてを講じることができる。非常にけっこうなことだが、問題がないわけではない。

 というのは、これまで医療費助成を受けてきた56疾病の難病患者の9割の人が負担増になるというのだ。さらに国は、助成は「症状が一定より重い患者に限る」と示し、当事者の間で不安が広がっている。

 薬を飲んで症状を抑えている患者は「軽症」と見なされ、医療費助成対象から外されるのではないか、と。もし助成対象から外れたら、現在1割程度で入手できる薬が購入できない人も増え、重症化することも考えられる。"難病"に認定されるほどだから、開発費に対して設定された薬価は高額になりがちだ。

 難病は完治する治療法がないので、病院との付き合いはほぼ一生続く。病院への支払いも、同じように続いていくということだ。助成の線引きが本末転倒にならないかどうか、始まったばかりの改革の真価が、今後、問われることになる。
(文=編集部)

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堤寛