2015.11.01
連載「暮らしとつながるサプリメント」第4回
さて、今回の日本の新制度では、安全性については食経験や健康被害の報告制度などは取り入れられたが、品質管理の基礎であるGMPについては義務化されなかった。もちろんGMPを任意で取得しているところもあるが、このレベルはcGMPに比べるとかなり粗い。
例を挙げれば、cGMPの下では、購入した原料の同一性を確認したうえで製造しなければならないが、日本のGMPの場合、原料供給先の試験結果があれば、改めて同一性を確認する必要はない。これはほんの一例だが、厳密性という点では、大きな隔たりがあると言わざるを得ない。
また一方では、GMPが義務化されていないことで、輸入される健康食品に粗悪品が入ってくる可能性も否定できない。
消費者にとっては気になるところだが、自己防衛のためには、消費者庁のサイトに開示される「機能性表示食品の届け出情報」で、安全情報などをチェックすることで対処するほかないだろう。
連載「暮らしとつながるサプリメント」バックナンバー
後藤典子(ごとう・のりこ)
ジャーナリスト、一般社団法人日本サプリメント協会理事長、農医連携ユニット理事
。同志社大学文学部卒業後、編集プロダクションを経てジャーナリストに。政治・経済評論をテーマにした取材・執筆を主軸としてきたが、サプリメントの取材をきっかけに市場の歪んだ情報の蔓延に義憤を感じ、生活者のための公正中立な情報の必要性を痛感。2001年、NPO日本サプリメント協会を発足、中立な情報機関として活動を始める。書籍の発刊や、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど、マスメディアにおいて執筆・評論・コメントを行うとともに、生活者や企業を対象とした講演活動を通じて、ヘルス・プロモーションの啓発に努める。現在、自己健康管理サイト「ヘルスデザイン」をプロデュースするとともに、
農と医をつないで健康と食の問題を検証するプロジェクト「農医連携ユニット」に関わるとともに、
「日本サプリメント協会」を通して生活者の健康リテラシーを向上させるための情報活動を行っている。
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