記載されている「大塚製薬治験問い合わせセンター」に電話して尋ねたところ、治験を行なうことができるかは、医師の診断により決定するという。指定した抗うつ役の配合剤を服用してもらうため、現在飲んでいる抗うつ剤は中断してもらうこともある。
試験が開始すると、週に1回指定の医療機関に通院し、1回の通院あたり交通費などの負担軽減として5000円から1万円が支払われるという。
「心の風邪」の称して服用者が爆発的に増加
抗うつ薬のスタンダードは「三環系」「四環系」「SSRI」「SNRI」と、その種類を増やしながら移り変わってきた。「選択的セロトニン再取り込み阻害薬」を意味するSSRIが登場した1999年頃には、「うつは心の風邪」というキャンペーンが行なわれ、抗うつ薬を服用する人が爆発的に増加した。
偏見を持たれていた精神科のハードルが下がったのはいいが、安易な多剤大量処方を招き、副作用に苦しむ薬害をもたらしたという見方をする人も多い。
今回、大塚製薬の治験では、配合される2つの有効成分がポイントのようだ。これだけ大々的な治験を行なうということは、うつ病治療の新しい標準を作り出す可能性を秘めたものなのかもしれない。
うつ病に悩む人たちの新しい選択肢が増えることに期待する一方で、製薬会社には、行き過ぎた販売戦略への十分な注意と慎重な治験も求めたい。
(文=編集部)