米ブラウン大学アルパート医学部(ロードアイランド州)教授のMary Carskadon氏は、今回の知見はこれまでの研究が示してきた方向を裏付けるものだと述べる。
その一方で、その背景にある機序は明らかにされていないと指摘。「長時間の睡眠が健康を保護するのか、あるいは睡眠不足により脆弱性が生じるのかという、"鶏と卵"の問題には未だ答えが見つかっていない」と付け加えている。
とはいえ、睡眠不足がさまざまな弊害をもたらすことは確かだ。当サイトでも、睡眠不足が引き起こすことについて紹介してきた。
「自殺者の平均睡眠時間は5時間。睡眠不足が自殺を引き起こしてしまう!?」「睡眠障害が治れば糖尿病も改善する!?『睡眠』と『血糖値』の因果関係が明らかに」「眠れない脳が悲鳴を上げる? 睡眠障害による国内の経済損失は3.5兆円!」「睡眠時間に関係なく『夜更かし』は糖尿病の引き金に? 認知症、筋肉量の減少もリスク上昇!」などだ。
OECD(経済協力開発機構)のアンケート調査によれば、OECD加盟国の睡眠時間の平均は、男性が7時間41分、女性7時間36分。世界中で日本人は1時間15分以上も"超短時間"睡眠であることが明らかになっている。
近年では、スマホやタブレット型端末など、ブルーライトを発する電子機器の操作時間が急激に増加。「体内時計」を乱れさせ、自律神経系や内分泌系、免疫系にも悪影響を及ぼしているといわれている。現代人にとって睡眠時間の確保は、もはや意識すべき重要な健康課題といえる。
(文=編集部)