不規則な労働時間が寿命を短くするshutterstock.com
国際市場を相手にするワールドワイドな企業が増えたこと、24時間営業の店が増えたこと、介護の仕事が増えたことなどで、シフトワーカー(交代勤務者)が増えている。いまや労働者の4人に1人という割合だ。日勤(昼間勤務)に比べて、夜勤(夜間勤務)はつらいなどとよく言われるが、日勤もすれば夜勤もする交代勤務のシフトワーカーは、さらにつらい。そのつらさは、寿命に大きな影響を与えるほどである。
勤務時間がもたらす健康への悪影響
そもそも夜勤がつらい理由は何か? 体内には時計の役割を果たす機能がある(体内時計)。それには個人差があり、夜型の人もいれば、朝型の人もいるが、基本的に人間は、昼間は起きて活動し、夜は眠る「昼行性(ちゅうこうせい)」の動物だ。昼間に浴びる光が体内時計のリズムを保つ役割を果たし、夜になれば眠くなり、朝が来れば目が覚める。夜勤は、その体内時計に逆らっているのでつらいのだ。
「夜勤が続けば、体内時計も夜型になるだろう」と思いがちだが、夜勤明けに朝の光を浴びると、体内時計が朝型にリセットされてしまうため、完全な夜型にするのは難しいといわれている。ただし、ある程度は夜型の体内時計に順応していくので、たとえ夜勤だとしても勤務時間が固定しているほうがシフトワークよりは肉体的につらくはない。
交代勤務をするシフトワーカーは、夜勤のつらさに加えて、夜勤から日勤へ、日勤から夜勤へと切り替える際の時差ボケが加わる。それによって身体は、どのようなダメージを受けるか?
脳卒中などの冠動脈疾患での死亡リスクを見ると、シフトワーカーは日勤労働者の2倍以上、がんのリスクを見ると、前立腺がんが3.5倍、乳がんが2.6倍という統計データがあり、IARC(国際がん研究機関)は、シフトワークを発がんリスクが高い危険因子とみなしている。また、体内時計の乱れが精神にもたらす負担も大きい。睡眠が乱れることで、うつ病などの精神病のリスクが大幅に高まるからだ。
このようにシフトワークは、心身にダメージを与え、労働者の寿命を縮めてしまう。